マカオで今年4例目の百日咳感染例確認…患者は71歳男性、潜伏期間中に上海市と海南省渡航歴

マカオの大型総合病院として知られる鏡湖醫院(資料)=本紙撮影

 マカオ政府衛生局(SSM)は4月5日夜、マカオで百日咳の新規感染確認が1例あったと発表した。

 患者はリタイア生活を送るマカオ人の男性(71)で、慢性疾患の既往歴があるという。前月(3月)3日から咳の症状が現れ、発熱や鼻水が出るといった症状はなかったが、複数回にわたって医療機関を受診した後、咳の症状が続いたため、私立総合病院の鏡湖醫院を受診し、入院治療を受けるに至った。同院で患者の呼吸器ウイルスDNA検査を実施した結果は百日咳菌陽性で、胸部画像診断では左下肺の肺炎が確認され、百日咳感染と診断された。患者はの容体は安定しているとのこと。

 なお、患者は潜伏期間中に上海市と海南省へ渡航歴があったが、マカオで子どもや体調不良の人との接触歴はないとした。

 SSMによれば、百日咳は百日咳菌によって引き起こされ、患者の咳、大声、くしゃみなどによって生じる呼吸器飛沫を介して直接感染するものだが、百日咳菌は生存力が弱いため、一般に間接感染することはないという。百日咳の症状としては痙攣性の咳、鶏の鳴く声のような唸り声、嘔吐などがあり、適切な治療を受けない場合、症状は3ヶ月ほど続くこともあり、肺炎や脳症などの合併症を併発して死に至ることもあるとのこと。すでに抗生物質による有効な治療が存在するが、発症早期の使用が有効とした。

 SSMでは、防疫接種が百日咳の最も有効な予防手段であるとし、マカオではWHO(世界保健機関)のガイドラインに沿って、百日咳の予防接種を2、4、6、18ヶ月及び5歳時に実施しており、予防接種の普及後、マカオで百日咳の感染例が見つかるのは極めて稀なケースとのこと。ただし、直近およそ10年間では自然感染の減少から妊婦やその他成年の間で抗体が弱まるなどの理由で世界的に発病率が高まっている状況もあると指摘した。

 今年に入って以降、マカオで百日咳の感染確認例は早くも4件に上るが、その前は2023年9月中旬、もうひとつ前のケース2020年2月に遡る。

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