県警、治安向上へ態勢強化 交番、駐在所の最適化検討 総合力高める

 県警は防犯や事故抑止のさらなる態勢強化に向け、今年度にも県内の少子高齢化や過疎化に対応した新たな治安向上プログラムを策定する方針を固めた。刑法犯認知件数が減少傾向にある一方、東日本大震災、東京電力福島第1原発事故などを経て治安情勢も変わり続けている上、施設の老朽化などの課題も生じている。複数の警察官が勤務して事案に迅速に対応し、地域の警らなどができる交番、駐在所の最適な在り方などを検討する。これまでも進めてきた人員や施設の集約・再整備を複数年かけて行い、治安維持の総合力の向上を目指す。

 現在、県内には交番が都市部を中心に50カ所、都市部以外に駐在所が164カ所(震災、原発事故で閉所中なども含む)ある。県内の刑法犯認知件数が最多の3万6018件だった2002(平成14)年ごろまでの社会情勢などを踏まえて配置され、地域の治安維持に貢献してきた。近年、件数は減少し続け、昨年は8003件とピーク時の5分の1程度になっている。

 一方、特殊詐欺や虐待などの、いわゆる「匿名・流動型犯罪」など新たな手口の犯罪も起こり、迅速な臨場の必要性は依然として高いままだが、単独勤務の駐在所もある上、配置が現在の交通情勢や人口分布などに沿わない地域もあるとされる。2018年以降、県外で警察官の襲撃事件が相次ぎ、全国的に態勢強化が求められている。

 関係者によると、治安向上プログラムでは、警察官がパトカーでパトロールする範囲の拡大などを目指す。交番などに勤務する警察官の態勢を強化することで、事件や事故が発生した際の迅速な臨場、夜間も含めた24時間の対応などが現在よりも強化される見込みとなる。実現に向けては、交番や駐在所などの拠点や人員の最適な在り方などを検討するとともに、老朽化している施設への計画的な対応策なども示すとみられる。施設のセキュリティー機能強化、施設同士を補完する仕組みづくりなども盛り込むもようだ。

 今後、県警内で本格的な議論が進む見通しとなっている。

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