成長分野、受験生来ず 飯豊・電動モビリティシステム専門職大、2期生は2人

2期生2人を迎えた電動モビリティシステム専門職大の入学式=飯豊町・同大

 電動モビリティシステム専門職大(清水浩学長)の入学式が5日、飯豊町の同大で行われた。定員40人に対し、2年目となる本年度の入学生は2人。初年度の3人に続き、大幅に定員を割った。成長分野を専門的に学ぶことができる環境にもかかわらず、受験生が集まらない。高校側からは進路実績がまだないことによる心理的ハードル、公共交通のぜい弱さを要因とみる声が上がる。

 同大は学校法人赤門学院(仙台市)が運営。電気自動車(EV)システム工学部が設けられ、EVシステムを構成する電池・駆動・車体・自動運転を総合的に学ぶことができる。

 同大の分析では、初年度は文科省の設置認可がずれ込んだことによる周知の遅れが、入学者数に響いた。2年目は共通テストに参加したものの伸び悩み、同大の小関俊宏事務局長は「高校生へのPRが足りなかった」と反省する。

 置賜地方の高校からは「学習内容や著名な教授陣は魅力的」としつつも「生徒の目にどう映るかは別。卒業後の未来をどう思い描くことができるかが、重要になっている」との声が聞かれた。村山地方の高校は、JR米坂線が2022年の豪雨で被災し、米沢―今泉(長井市)間の折り返し運転が続く現状に「通学が大変というイメージが拭えない面がある」とする。

 「飯豊電池バレー構想」を掲げる飯豊町も頭を抱える。同大に整備費3億5千万円を補助し、土地も無償貸与しているだけに、町側は「学校任せにせず、町としても支援していく」と強調。定住促進住宅「いいでハイツ」への学生の入居を可能にしたほか、将来的な交通費対策や奨学金制度の創設を検討する。

 同大は本年度から高校生向けの出張講義を展開する考え。入学式で清水学長は「最先端の分野で私たちとともに新しい道を切り開いていこう」と式辞を述べた。新入生の小山新さん(18)=日大山形高出身=は「新しいことが学べる環境が魅力で入学を決めた。幅広い年代の人が安心して利用できる乗り物を作りたい」と期待を膨らませた。

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