「もしもピアノが弾けたなら」…若い頃の憧れをかなえたいシニアが増える春 三日坊主にならないコツは?

講師の土田まゆみさん(右)の指導を受けサックスを演奏する國生賢さん=鹿児島市の十字屋

 憧れていた楽器を演奏できるようになりたい-。春は、定年退職などを機に楽器を始める“大人世代”が多い時季だ。三日坊主にならないこつは、好きな一曲を弾けるようになるなどの目標を持ったり、誰かと一緒に演奏を楽しんだりすることだという。音楽教室の担当者らに上達の秘訣(ひけつ)などを聞いた。

 鹿児島市の國生賢さん(77)は同市の十字屋ヤマハミュージックレッスンでサックスを習い始めて11年になる。「やりたいけど時間がない」と話していたところ、退職に合わせて知人が「代わりに申し込んでいた」。長く続く趣味となり、「今では感謝している」と振り返る。

 全くの初心者で音階からスタート。現在ではジャズを中心にさまざまな曲に挑み、発表会の舞台にも立つ。一昨年、家族が集まった金婚式では妻に、「瀬戸の花嫁」などの演奏を贈った。「次は孫の結婚式で吹きたい」と笑顔で語る。

 指導する講師の土田まゆみさんは「サックスは指を動かしたり、腹式呼吸をしたりするので健康にもいい。生徒さんが何を目指しているかに合わせて進めることを心掛けている」と話す。

 十字屋は同市内を中心に数カ所で教室を展開。大人世代向けには、30近いコースを開設する。同社の担当者は「退職などの少し前から取り組みたい楽器を探してみるのもいいのでは」とアドバイスする。

 島村楽器も、同市の鹿児島アミュプラザ店など3カ所で管楽器やドラム、ピアノ、ギターなど10以上のコースを開く。大人世代には、ピアノやサックスが人気だという。

 音楽教室アドバイザーの二宮汀さんは、初心者ほど教室で学ぶことを勧める。「独学で練習するという方もいるが、うまく音が出ないとやめてしまいがち。先生に教わって基礎を身につけることが早道」と話す。

 同教室でも発表会があり、講師たちで編成するバックバンドと一緒に演奏したり、ほかの受講生とアンサンブルを楽しんだりできる。「音を合わせるのも音楽の醍醐味(だいごみ)。一度味わうと、次もやりたいと感じるようです」

 十字屋も島村楽器も体験レッスンがあり、講師との相性やレッスンの進め方を確認できる。一部の楽器でレンタルも行う。この時季はキャンペーンで挑戦を後押しする教室も多く、十字屋、島村楽器ともに5月末まで入会金割引を実施している。

 二宮さんは「思い立ったときが始めどき。ぜひ、楽器を手にしてほしい」と話していた。

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