【早出し】聖地巡礼、徳内記念館へいかが 村山、「ゴールデンカムイ」受け

アイヌ民族の住居「チセ」を再現した「アイヌの館」。最上徳内が交流したアイヌの人々の暮らしを紹介している=村山市・最上徳内記念館

 金塊を狙う男たちとアイヌの少女を描いた漫画「ゴールデンカムイ」の舞台ゆかりの地を訪れる「聖地巡礼」が、実写映画公開を機にファンに人気となっている。アイヌの人々と交流した村山市出身の北方探検家最上徳内(1755~1836年)の功績を伝える同市の最上徳内記念館には、アイヌ住居「チセ」を模した建物や展示があり、同館担当者は作品ファンの来館と徳内の知名度向上に期待している。

 徳内は生涯で9回にわたり蝦夷地を調査し、案内役のアイヌの人々と寝食を共にし交流を深めた。同館の結城博生さん(69)は「徳内は当時虐げられていたアイヌにジャガイモの栽培法を伝えるなど、人として尊重していた。アイヌの案内がなければ、探検の成功はなかった」と説明する。言語も理解し、親交のあったオランダ商館医シーボルトが手がけたアイヌ語辞典の編さんを手伝った。

 同記念館はかやぶきのチセを模した「アイヌの館」を整備し、室内に民俗衣装やマキリ(小刀)など約50点を展示している。いろりなども忠実に再現しているため、ゴールデンカムイに登場する少女アシリパと祖母が暮らす住居にそっくりの造りとなっている。

 結城さんは「自然と共生してきたアイヌの生き方を知ることはSDGs(持続可能な開発目標)の実現にもつながる」と指摘する。今回の話題作をきっかけに民俗文化への注目が高まっているとし、「徳内とアイヌのつながりをぜひ知ってほしい」と話している。

 入館料は300円(高校生以下無料)。問い合わせは同記念館0237(55)3003。

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