育休後の職場復帰で大事なことは? 復帰後の不安を解消するための準備&両立のポイント5

引用元:yamasan/gettyimages

新年度がスタートし、慣らし保育や職場復帰へ向けての準備を進めている方も多いのではないでしょうか。「スムーズに職場に復帰できるの?」「仕事・育児の両立できる?」など、職場復帰への悩みは尽きませんよね。
「たまひよ」アプリユーザーの復帰経験者のアドバイスをご紹介するととともに、キャリアコンサルタントの関小百合さんに両立のポイントと心構えを聞きました。

息子を保育園に預けてよかったと思うこと【ツボウチ育児劇場 #45】

職場復帰のためにしておいてよかったことは…?

まず、みんなの職場復帰のために事前に準備しておいてよかったこと、逆にやておけばよかったことを聞きました。

◾️自分の時間を作って休むこと
「とにかく自分の時間をつくって休むこと。1人目の育休中は、自分の時間を持つのは悪いことのような気がしていて、なかなか周囲のサポートや支援を受けられなかったのですが、もっと自分の体や心を休めるために時間を使ってもよかったなと思います」(むひ)

◾️託児所などの登録
「病児保育と休日の託児所の利用登録をしておいてよかったです」(るる)

◾️夕飯づくりの下調べ
「カット済み野菜など、夕飯づくりがラクになるモノ・方法を下調べをしておいたのはよかった!」(イシ)

◾️毎日の献立表
「1人目のときはやらなかったが、今後、復帰するときまでにやっておきたいのは、毎日の献立表をつくっておくことです」(つねこ)

◾️平日に済ませたい用事は育休中に!
「とにかく自分の時間がなくなります!平日に済ませたい用事があれば、育休中に!あと、子どものアルバムの整理をしておけばよかった…」(ももん)

◾️新しい部署の理解
「復帰先がどんな部署なのかを確認して、仕事内容を理解しておいてよかったです」(トラミ)

◾️時短勤務にすればよかった!
「時短勤務にすればよかった。フルタイムの方が収入はあるけれど、帰ってからの疲れ方が半端じゃないからです」(すー)

◾️子ども起床・就寝時間
「起床&就寝時間を子どもの身体に覚え込ませておいたほうがいい!」(はな)

「夫婦や家族と今後の仕事や子育てについて話し合うことが大事」と専門家

現在は中国在住で、キャリアコンサルタントとして活躍する関小百合さんに、育休復帰に向けての準備についてアドバイスいただきました。

「皆さん、育休復帰の準備をしっかりされていますね。ただ、1人で『なんとかしなきゃ』、『頑張らなきゃ』と、思われていないかが少し心配です。というのは、育休復帰後は思い通りにいかないことばかりで、私が(ママ)が頑張らなきゃと思ってしまいがちだからです。

両立はワーキングマザーが1人でするものではなく、ワーキングペアレンツで家事・育児をする、もしくは家族や支援者と子育てするという考え方に切り替えることが大切だと思っています。

時短勤務で給料が減るから、多少の負担はしょうがないなどと思わなくていいのです。時短とはいえ仕事をしながら、家事・育児をしていると、動き回っている時間が長くなり、負担が大きくなることもあるからです。

両立の不安や負担を1人で抱え込まないためには、まず育休中からパートナーや家族、支援者と話し合うことがとても大切です。
例えば、フルタイムもしくは時短で会社に復帰するか、仕事で将来、自分が実現したい中・長期的な働き方の希望などをお互いにすり合わせることです。そして、子どもは将来どう育てていきたいか、そのためにパートナーや支援者と家事・育児をどのように分担するかなどについて話し合っておきましょう。
話し合いのときは、ママ自身の思いを伝えると同時に、『あなたはどんな家族、子育てをしていきたい? お互いに働き方をどう変えていくといいかな?』などと相手の思いを聞いてみると、スムーズに話し合えるのではないでしょうか。

仕事は、職場復帰面談を受けて、勤務形態の選択のほか、復帰後の両立の環境(延長保育や病児保育、夫婦の分担など)とともに、仕事に対する意欲などを伝えることが大切です。ご自身の仕事に対する意欲に対して、会社がどう対応するかをすり合わせるよい機会になるはずです。
復帰後の配属先が決まったら、仕事内容だけでなく仕事の評価方法や、将来のご自身のキャリアパスについて、上司と話し合うことも必要です。中には思った仕事ではなかった、評価されていないという不安や不満で、仕事を辞めてしまう人がいるからです。上司との話し合いの時は、権利主張型ではギスギスするので、あくまでも自分ができることを伝える組織貢献型提案がポイントです。

また、子どもの病気など突発的な早退・遅刻もあるので、同僚にも両立環境について伝えておくと、協力を得やすいのではないでしょうか。

私も復帰前は不安だらけで、復帰後もバタバタで反省することがいっぱいでした。私がキャリアコンサルタントとして育休後職場復帰準備セミナーを開催するのは、自分の経験を伝えるだけでなく、両立の負の遺産を私たちの子ども世代まで残したくないという思いがあります。子どもたちが将来働くときには、仕事をすることも子どもをもつことも、彼らが自分で選択できる社会にしていきたいからです。

もちろん両立の不安を解決するには、社会の理解や長時間労働など問題が山積しています。私たち世代が考え方をシフトして行動し、両立の不安を少しずつでも減らしていくことで、生き生きと働く背中を子どもたちに見せられるのではないかと考えています」(関小百合さん)

育休復帰前・復帰後の両立のポイントと心構え

◆リフレッシュ時間の確保
15分、1時間、半日、1日などとそれぞれの時間でできる、好きなことを探しておきましょう。音楽や動画、アロマでリラックス、買い物など家事・育児など生活を切り離せる時間を持つことは、たとえ短い時間でもリフレッシュになるはずです。

◆誰でも家事を遂行しやすい動線
自分だけでなくパートナーや家族にもわかりやすく、スムーズな動きで家事ができるような準備をしておくことは大事です。例えば、どこに何があるのかわかりやすく、家事をしやすい動線上に収納を設けるなどの工夫を。そのほか、不要なものは捨てる!たくさんのものの中から探すことは、時間の無駄になったという私の反省です。

◆便利家電やグッズ、サービスの導入
子どもとの時間を優先するなら、一時期の必要経費として時短家電の買い替えや家事代行サービスを利用するのも一つの方法です。子育てで大変な時期はたとえ貯金ができなくても、ママとパパ、そして子どもの体と心の健康が第一と考えてみては。忙しいパートナーのかわりにお金で解決してもらうというのもあり!

◆ヘルプシーキングのスキルを身につける
ヘルプシーキングとは、一人で抱え込まず、周りに助けを求めるというビジネススキルです。職場だけでなく、家庭でもこれからはこのスキルを身につけることはとても大事。特に職場では、復帰後、自分のできることを先に伝えて、無理せずできることで会社に貢献することを心がけてみては。助けを求めることが、お互い様になる職場が理想です。

◆睡眠時間の確保
育児を優先して、家事は多少のことには目をつむり、完璧を目指さないこと。夫の家事分担への口出しも手助けも、イライラとお互いがギスギスする原因になるので必要なし。気になりはじめると家事負担時間が増え、自分の睡眠時間が減ってしまうので、両立の体力を維持するためにも睡眠時間は7〜8時間を目指して。

育休復帰後は、会社でも気を遣うことばかり。ヘルプシーキングのスキルを身につけられると、心も体もお互いにラクになるのかもしれませんね。
(取材・文/酒井範子)

※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は2024年3月の情報で、現在と異なる場合があります。

関小百合さん

PROFILE)
「キャリアの売りどころ」「最適なキャリア選択」を見出すのが得意な元リクルートMVPキャリアコンサルタント 。「30歳からのはじめての転職」「ここだけの話転職しない転職の思考法」「転職や営業」のリアルを伝えます リクルートで営業10年、年間MVP3回受賞 1万名以上転職支援実績有。キャリアコラム、仕事と子育ての両立のお役立ち情報や明るく一歩踏み出す、ワーママ奮闘記をブログで発信している。「育休後職場復帰準備セミナー」なども開催。

https://ameblo.jp/careerconsultantseki/entry-12658618193.html

© 株式会社ベネッセコーポレーション