「フィールドアーチェリー場」群馬・安中市に6日オープン 競技者の谷口さん整備、国際大会誘致も視野

山林の地形を生かし、コースを整備した谷口さん

 自然の中に整備されたコース上の標的を狙い、得点を競うフィールドアーチェリー場が6日、群馬県安中市内に誕生する。「ぐんこく」の名称で親しまれ、群馬県唯一の群馬国際フィールドアーチェリー(同市)が昨年10月に閉鎖したことを受け、利用者の一人が競技の普及や選手育成に向けて新設を決意。民有林を取得し、手作業でコースを整備するなどして開業にこぎ着けた。特色ある屋外スポーツ場の利点を生かし、人気の拡大や地域振興を目指す。

 開場するのは、群馬山嶺フィールドアーチェリーパーク(同市松井田町土塩)。代表の谷口嶺さん(25)=同市=はアーチェリーの競技者でもあり、半世紀にわたり運営され、多くの愛好者らが集った「ぐんこく」で鍛錬した一人だ。

 全国大会出場を果たすなど実力を伸ばしてきたが、昨夏、練習拠点の閉鎖を知り、「選手として世界選手権への出場が目標。自分でフィールドアーチェリー場を作ってしまおう」と決断。市内外で複数の候補地を見て回り、約2万平方メートルの土地での新施設開業を決めた。

 昨年11月からコースの整備に着手。スコップやノコギリを手に山林内の木々を覆うやぶを取り除き、コースを歩きやすくするとともに、標的を設置した。家族や親戚、仲間に協力してもらい、試行錯誤しながらこだわりの環境を実現させた。慣れ親しんだ「ぐんこく」からは不要となった標的の備品や距離表示看板、レンタル用具を譲り受けた。

 県内外の公認記録会や国際大会の誘致を視野に、斜面や谷底、木々の間に計24のコースを設定。手作りした屋根付きの標的は直径20~80センチで、標的までの距離は5~60メートル。変化に富んだ勾配で、上や下の方向に矢を射るのが醍醐味(だいごみ)だという。

 谷口さんは勤務していた会社を3月末で退職し、今後は運営に専念する。敷地内にある空き家を自らリフォームして、クラブハウスにする計画を練っており、利用者の交流の場や室内練習場として活用する考えだ。周辺観光施設や飲食店との連携も目指し、地域を盛り上げるネットワークの拠点としての機能も目指す。

 「小学生から定年を迎えた方まで、老若男女問わずに幅広い年齢層に楽しんでもらえるスポーツ。自然の中で快適に過ごすと、健康維持にも役立つ」と、谷口さんは競技の魅力を語る。選手として、運営者として、それぞれの目標に照準を合わせて挑戦を続ける。

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