これぞ県都・富山の春 松川べりの桜、チンドンコンクール

歩行者用に開放された車道を歩き、満開の桜を楽しむ花見客=富山市の松川べり

  ●好天の市中心部に人波 地震後一番のにぎわい

 富山市で桜の開花が宣言されてから初の週末を迎えた6日、満開になった松川べりの桜と、70回を迎えた「全日本チンドンコンクール」(富山新聞社後援)が県都に春本番を告げた。穏やかな晴天の下、市中心部は朝から大勢の家族連れや観光客が行き交い、花見とにぎやかなチンドンの練り歩きを満喫した。

 松川べりは両岸にソメイヨシノ約530本が並ぶ。能登半島地震の影響で並行する市道が損傷し、県庁裏の歩道300メートルは通れないものの、復旧した車道が歩行者用に開放され、散策を楽しむ人が行き交った。

 遊覧船の船着き場には長い列ができ、市観光政策課の担当者は「地震発生以降、一番のにぎわいだ」と話した。家族7人で訪れた魚津市の男性(85)は「満開で天気も良く来て良かった」と声を弾ませた。

  ●節目の70回、盛大に

 チンドンコンクールには全国28チーム84人が出場した。県民会館で行われたオープニングでは藤井裕久市長が70回の節目に触れ、「ファンへの恩返しと被災者へのエールを込めて盛大に開催したい」とあいさつ。出場チームによる合奏で華やかに幕を開けた。

 出場チームは同館での予選パフォーマンスの前後で街に繰り出し、ステージ演技や練り歩きを披露した。北陸新幹線を利用して首都圏や関西から訪れた観光客、チンドンファンの姿も見られた。

  ●満開の並木、にぎやかな練り歩き…被災者の心慰め

 地震で輪島市の自宅が壊れ、富山市のホテルに身を寄せる川島利信さん(81)は「昔のサーカスを思い出して懐かしかった。松川もきれいで少し地震を忘れることができたが、地元の桜が恋しくなった」とふるさとに思いを寄せた。

 予選はプロチンドンマンが4ブロックに分かれて芸を競い、各ブロック上位2位の8チームが7日の本戦に進んだ。冒頭、富山市の若林喜代美さんがデザインしたコンクールのロゴマークが披露された。素人チンドンコンクールでは「ひっぷのかわりとお花とやっぴー」(兵庫)が最優秀賞に輝いた。

 最終日の7日は、チンドンマンら総勢約200人によるスペシャルパレードが行われる。富山地方気象台によると、7日の県内は高気圧に覆われ、晴れで朝晩は曇る見込み。

コンクールのオープニングで合奏を披露する出演者

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