46.1%が「節約志向」…物価上昇率への不安とシニア生活費の現状

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の支出は「月約4万円」の赤字

2024年3月22日に公開された、総務省「2020年基準消費者物価指数 2024年(令和6年)2月分」によると、東京都区部の2023年CPI(総合)は前年比3.2%でした。

1年間で3%も物価が上がっており、それだけ現金の価値が下がっていることになります。

物価高でちょっとしたランチなどへの支出も躊躇する人は少なくありません。それでは、みなさんがどのように節約しているのでしょうか。

今回は最新の意識調査資料から、節約志向の実態について探っていきましょう。記事の後半では、気になる物価上昇率やシニアの家計状況についてもチェック!

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

【調査】2024「節約志向」に関する消費者実態調査

株式会社リクルートの外食市場に関する調査・研究機関『ホットペッパーグルメ外食総研』が、物価高で高まる節約志向の実態と外食での節約行動について消費者アンケートを実施。

節約志向の実態や外食での節約方法などが浮き彫りとなりました。

調査概要は下記のとおりです。

  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:首都圏、関西圏、東海圏に住む20~69歳の男女(株式会社マクロミルの登録モニター)
  • 調査時期:2024年1月4日(木)~2024年1月15日(月)
  • 配信数:12,738件
  • 回収数 9,709件(回収率76.2%)
  • 有効回答数 9,636件
  • 調査機関:(株)アール・ピー・アイ

最近の物価高で節約志向が高まった人は46.1%。特に節約を意識している出費は?

最近の物価高で節約を意識しているか

最近の物価高での節約意識について、「物価高の前から意識し、今はもっと意識している」が30.6%、「物価高の
前は意識していないが、今は意識している」が15.5%という結果に。

上記の二つをあわせた「最近の物価高で節約志向が高まった人」は、計46.1%でした。

性年代別では、「最近の物価高で節約志向が高まった人」は 60 代女性でのみ半数を超え(50.4%)、最も割合が低いのは 50 代男性(計41.5%)でした。

現在、特に節約を意識している出費は

現在、特に節約を意識している出費については、1位は「内食の費用」(自炊の食材等の費用)で45.0%、2位は「光熱・水道費」で43.3%、3位は「外食の費用」で35.0%でした。

「外食」「中食」「内食」のいずれかの出費を挙げた人を集計した「食費・計」は63.3%で、食費の節約を意識している人が多いことがわかります。

物価上昇が著しい昨今ですが、2024年の物価見通しはどうなっているのでしょうか。次の章からは、2023年1年間の消費者物価指数の上昇率をチェックしていきましょう。

2024年はどうなる?消費者物価指数の上昇率をチェック

総務省「2020年基準消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)2月分」をもとにして、消費者物価指数の推移をみていきましょう。

【東京23区】2023年1年間の消費者物価指数

【2023年】2020年基準・消費者物価指数

総務省によると、全国の2024年2月時点での2023年CPI(総合)は、前年同月比で106.9%。ちなみに、東京都区部の2023年CPI(総合)は前年比3.2%でした。

1年間で2%近くも物価が上がっており、それだけ現金の価値が下がっていることになります。

また、2023年の各月のCPIを前年同月比で見てみると年初は4%を超えていましたが、12月には2%代になりました。

それに比べて生鮮食品及びエネルギーを除いたコアコアCPIは依然として前年同月比が3%代で推移。2024年も物価の上昇は続くかもしれません。

こうした物価上昇の影響の余波は、現役世代だけでなくシニア世代にも届いているようです。

【シニア】月約4万円の赤字…「65歳以上の生活費」はどのくらい?

一般的に、年金受給開始年齢となる65歳から「年金生活」をスタートさせる世帯が多いと考えられます。

では、65歳以上の無職夫婦のみの世帯における、家計収支はどのようになっているのでしょうか。

総務省の「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支は下記のとおりです。

65歳以上無職夫婦のみ世帯の家計収支

【65歳以上の夫婦のみの無職世帯の支出】

消費支出:23万6696円

  • 食料:6万7776円
  • 住居:1万5578円
  • 光熱・水道:2万2611円
  • 家具・家具用品:1万371円
  • 被服及び履物:5003円
  • 保健医療:1万5681円
  • 交通・通信:2万8878円
  • 教育:3円
  • 教養・娯楽:2万1365円
  • その他:4万9430円

非消費支出:3万1812円

◆支出合計:26万8508円◆

可処分所得(手取り収入)が21万3042円に対して、消費支出が25万959円となっており、毎月3万7916円の赤字であることがわかります。

単純に考えると、手取り収入が消費支出を上回れば赤字を回避できることになります。

皆さんの現在の家計収支はどれくらいですか?そして老後の家計収支はどれくらいと想定できますか?

老後に向けて資産形成を進めるには、まず収支を想定する必要があります。

もちろん、収入・支出は未確定かつ流動的なもの。本記事で確認した平均データを参考にしながらマネープランを考えてみてはいかがでしょうか。

外食に泣かされないよう、日々のお金に対する意識改革を

ここ最近の物価高で節約志向が高まった人は計46.1%と、約半数。

なかでも、日々のご褒美として楽しんでいた外食について意識している人が多いこともわかりました。

たまの贅沢として外食を楽しむことも大切ですが、回数を減らしたり単価を抑えたりするなど、外食での節約も大切でしょう。

趣味や楽しみに対する出費の額が気になっている人は、日常生活を送る中で別の固定費や出費のボリュームを押さえられるように意識を変えていくのもよいですね。

参考資料

  • 総務省「2020年基準消費者物価指数 2024年(令和6年)2月分」
  • 株式会社リクルート「最近の物価高で節約志向が高まった人は46.1%と前年比微減 「内食」「光熱・水道費」「外食」等が節約対象 一方、“たまの贅沢(ぜいたく)”では「外食」が55.2%と圧倒的支持」(PRTIMES)

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