「巨額投資に十分だった」“懐疑的”だったドジャース山本由伸の実力に米記者脱帽! 「プレミアムな才能」と称賛止まず

3度目の正直で待望のメジャー初勝利を掴んだ。

現地4月6日、ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸は敵地でのシカゴ・カブス戦に先発登板。5イニング(80球)を被安打3、奪三振8、与四球2、無失点の内容で投げ切ると、後を受けた中継ぎ陣がしっかりカブス打線を抑えて4対1で勝利。山本に今季初白星が付いた。

初回に2つの安打と四球で、いきなり無死満塁のピンチを招いたが、日本人右腕はギアを一段階上げると圧巻の3者連続三振に斬って取り、絶体絶命の場面を脱した。2回にも2死満塁とするが、3番コディ・べリンジャーを3球連続ストレートで追い込むと、最後はカーブで空振り三振に仕留めた。

3回以降は立ち直り、ひとりもランナーを出さない見事なピッチングで三振の山を築く。5回表に味方打線が3点を先制すると、山本はその裏を三者凡退に抑え、この回でお役御免となった。
念願のMLB初勝利に笑顔が弾ける背番号18に米記者は「ヨシノブ・ヤマモトは我々に多くのことを見せてくれた」と喝采を送っている。

米スポーツメディア『The Athletic』のファビアン・アルダヤ記者は「最初のイニングは韓国・ソウルでのメジャーデビュー戦(サンディエゴ・パドレス戦)と同じような展開で始まった。しかし悲惨なデビュー戦のあと、彼は12年総額3億2500万ドル(約465億円)の大金を手にしたプレミアムな才能以上のものを見せつけた」と記し、不安定な立ち上がりを見事に修正した、そのスキルを称えた。

同記者は当初、オリックスで通算70勝、沢村賞をはじめ、最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の「投手4冠」を3年連続で受賞した最強右腕の実力に懐疑的だったが、「母国で圧倒的な強さを見せつけたことは、巨額の投資をするのに十分だった。それがどれだけ報われるかは、時間が解決してくれるだろう」と言及。メジャーの舞台でも、NPB時代のような無双ピッチングに期待を寄せた。

山本を春季キャンプから間近で見てきたマーク・プライアー投手コーチは、「ヤマモトはまだマウンド上で支配力を発揮する瞬間がありそうだし、試される時間もあるだろう」と慎重な見方を崩さなかったが、「彼の適応能力だけでなく、戦おうとする姿勢から学ぶことはまだある」と評し、待望の1勝を手にしたことで右腕のさらなる飛躍を願った。

試合後は自身のメジャー初勝利を祝うため、チームメイトからお祝いのビールシャワーを一身に浴びた山本。アルダヤ記者は「ビショビショに濡れてベンチの階段を下りてきた頃には、ヤマモトは満面の笑みを浮かべていた」と報告。名門球団の一員として、本当の意味で第一歩を歩み始めたと紹介されていた。

構成●THE DIGEST編集部

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