奄美の少年は駅伝目指し島を出る。ミャンマーの少女は夢を追い日本へ。災害派遣に胸打たれた青年は自衛隊の門をたたいた。新天地に挑む 決意の春

介護福祉士を目指して来日したテーテーウィンさん=7日、いちき串木野市の神村学園専修学校

 新年度を迎え、鹿児島でも入学式などが本格的に始まった。新たな分野に挑んだり、初めて訪れた地で夢をつかもうとしたりする若者に、春の決意を聞いた。

 奄美市の金久中学校を卒業した坂元十色(といろ)さん(15)は、鹿児島実業高校(鹿児島市)の入学式を9日に控える。数ある中から同校を選んだのは、陸上部に入るためだ。「伸びしろはあると思う。胸を張って新しいスタートを切りたい」と意気込む。

 中学3年まではサッカー少年だった。長距離走の力を見込まれ、県中学校駅伝大会のメンバーにスカウトされた。初めて出た昨秋の大会で初優勝し、これを機に陸上への転向を決めた。「仲間を信じて走るところに魅力を感じる」という。

 6歳から過ごした奄美大島を離れ、寮生活を送る。不安はあるが、本格的に陸上に取り組める喜びが勝る。「目標は全国高校駅伝への出走。自分が活躍することで、奄美がもっと全国に知られるようになれば」と郷土への思いも強い。

 この春来日したミャンマー出身のテーテーウィンさん(21)は「早く日本の人と話したかった」と笑顔を見せる。いちき串木野市の神村学園専修学校日本語学科に入学し、8日からいよいよ学校生活が始まる。

 夢は介護福祉士。「自分も年を取れば、できないことが増える。今のお年寄りのお手伝いをしたい」。まだ日本語はたどたどしいが、熱い気持ちを語った。

 まずは7月にある日本語能力試験「N2」と、今後1年間で挑戦する「特定技能」試験に合格するのが目標だ。介護事業所でアルバイトも始め、卒業後はそのまま就職する見込み。「日本人や他の国の人とも、たくさん友達ができれば」

 中種子町出身の進藤友志さん(18)は、陸上自衛隊国分駐屯地の入隊式に7日臨んだ。四つ上の姉も自衛隊員で、兵庫県の自衛隊病院で働く。姉や、報道で見る災害派遣で活躍する隊員の姿に憧れ「困っている人を助けられる存在になりたい」と自衛隊員を志した。

 高校は指宿商業を出た。長距離走が得意で、今年2月の県下一周駅伝では熊毛チームから出走した。同じチームには国分駐屯地所属の田實明大選手がいて、目標になった。「来年も地元から参加し、貢献できる走りを目指す」という。

 入隊式では、18歳まで育ててくれた両親への感謝の気持ちが込み上げ、親孝行すると決めた。「同期の仲間と助け合いながら、頼りにされる自衛隊員になる」と将来像は明確だ。

入学式を前に自主練習に励む坂元十色さん=7日、奄美市名瀬の名瀬港マリンタウン緑地公園
入隊後の決意を語る進藤友志さん=7日、霧島市の陸上自衛隊国分駐屯地

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