「暗い気分吹き飛んだ」 チンドンコンクール最終日 富山に元気、人出12万人

立山連峰を背景に、スペシャルパレードで練り歩くチンドンマン=富山市堤町通り

  ●桜見頃、好天、新幹線延伸追い風

 富山市の春の風物詩「全日本チンドンコンクール」(富山新聞社後援)は最終日の7日、チンドンマン132人が市中心部を練り歩き、北陸応援割で訪れた観光客やインバウンド(訪日外国人)客が演奏を満喫した。70回の節目の今回は、桜の見頃や好天に加え、北陸新幹線敦賀延伸も重なり、人出は昨年より約1万5千人多い約12万人(5~7日、富山市発表)となった。

  ●132人パレード

 富山市によると、12万人突破は約12万5千人の2017年以来で、18年以降では最多だった。新型コロナウイルスの5類移行後で初の開催となった。

 北陸応援割を使って東京から来た会社員西橋政洋さん(44)は「家族と松川の遊覧船でチンドンの音を聞きながら、ゆったりと桜を見て、富山のすしも食べた。また来年も来たい」と話した。

 平和通りで行われたフィナーレを飾る「スペシャルパレード」では、チンドンマンが沿道の観衆に元気を届けた。

 富山市出身で金沢市在住の立花悦子さん(81)は、能登半島地震で気持ちが沈んでいたなか、結婚前に見物したパレードを懐かしみ、数十年ぶりに訪れた。「チンドンの明るい音色に暗い気分が吹き飛んだ。久しぶりに富山の春を満喫できた」と笑顔を見せた。

 初めてパレードを見た内灘町写真協会の渡部希典さん(82)も「見ていてすごく元気をもらえた。70回も続く魅力を体感できた」と語り、行列を写真に納めた。

 県内のチンドンマンたちは今後も歴史をつないでいく気概を新たにした。まとめ役である「桜小路陽炎(さくらこうじかげろう)」の田辺桂也さん(63)は、地震の影響のため松川べりで演奏ができなかったことが心残りとし「これからもコンクールが続いていくよう、富山の後継者を育てていく」と話した。

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