“2軍調整拒否”して巨人を電撃退団→わずか11日後にヤンキースとマイナー契約のオドーアに米移籍サイトも疑問視。トレードマークの行方に注目も

前代未聞の退団劇を巻き起こした元メジャーリーガーの去就が決まった。

現地4月5日(日本時間6日)、巨人の新外国人として今季鳴り物入りで加入するも、開幕直前に電撃退団を発表したルーグネッド・オドーアがニューヨーク・ヤンキースとマイナー契約を結ぶことが明らかになった。

米紙『New York Post』の敏腕記者であるジョン・ヘイマン氏によると、巨人との1年契約を3月途中で解除し、米国に帰国したオドーアが2021年に所属したヤンキースに戻るとSNSに報告。7月1日以降にオプトアウト(契約破棄)できる権利が付帯されていることも、併せて投稿された。

この一報には、巨人ファンを中心に非難が噴出している。「ふざけんな!」「日本をなめてる」「マイナーも実質2軍では?」などと、ネットやSNS上では巨人退団後、電光石火の米マイナー契約に呆れる声が多く上がった。
確かにファンから厳しく批判されても致し方ないほど、オドーアは巨人軍史上ワーストの退団劇を引き起こした。2月にメジャー通算178本塁打を誇るパワフルな打撃を売りに推定年俸2億円で巨人と契約を結び、大砲として期待されていたオドーアだったが、オープン戦は12試合に出場して34打数6安打。打率.176、本塁打・打点はともにゼロと散々な結果だった。

そして、誰も予想しない最悪の事態が起きた。最後のオープン戦となった楽天戦後にオドーアは阿部慎之助監督から2軍での再調整を指示されたが、これを拒否。「米国に戻りたい」と突然申し出て、退団を主張してきたのだ。球団は翻意するように説得を続けたが元メジャーリーガーの決意は変わらず、結局球団は本人の意向を認めた。

実は、オドーアのマイナー契約は現地メディアでも少なからず話題に上がっている。MLBの契約や移籍情報を専門に扱う『MLB Trade Rumors』はオドーアの移籍先を報じると、「彼がヤンキースでプレーするのは2度目だ。30歳の内野手は21年シーズンにブロンクス(ヤンキースの愛称)で過ごし、102試合に出場して打率.202、出塁率.286、長打率.379、15本塁打、39打点を残した。彼はMLB復帰を目指してプレーすることになる」と伝えている。

しかし、「オドーアはキャリア初期のテキサス・レンジャーズ時代に30本塁打を3度記録しているが、現状は攻撃力がかなり落ちている」とパワーの衰えを鋭く指摘。今の実力では、メジャー復帰の道のりは並大抵ではないと厳しく言及している。 一方、米メディア『FanSided』は別なところに注目している。同メディアは「ヤンキースの古臭いひげ禁止令が、再びMLB最高のひげを排除しようとしている」と大胆な見出しを打ち、サンディエゴ・パドレス時代のトレードマークだったオドーアの長いひげが伝統球団では見られないと嘆いている。

ヤンキースでは、チーム内規定として「ひげ禁止ルール」を設けている。この独自なルールは1976年に前オーナーであるジョージ・スタインブレナー氏が発案したとされ、現在でも丁寧に手入れされた口ひげ以外のひげは禁止となっている。だが時代錯誤な考えだとして、過去に在籍した選手や他球団から「ひげ禁止ルール」が批判されている事実もある。

『FanSided』はそれを触れたうえで、「ファンはオドーアのひげを見るのが好きだ。彼は昨年パドレスで素晴らしいひげを蓄えていた。しかし、最終的にはヤンキースの『ひげ禁止ルール』が、このラウンドを制することになるだろう。このポリシーが、いまだに名門球団に存在するのは非常に残念なことだ」と落胆している。
阪神との開幕戦を3日後に控えたなかでの電撃退団で、巨人軍に大きな衝撃を与えたオドーア。それからわずか11日後に突然発表されたマイナー契約には、ただただ驚きを感じずにはいられない。

構成●THE DIGEST編集部

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