同じ施術でも、クリニックによって料金が異なるのは、なぜ? 美容医療あるある4つのQ&A

「美容医療クリニックって、どんなところ?」から始まり、シミ・シワ・たるみ・ほくろ……など、個々の悩みに対する具体的な施術についてお話ししてきました。最終回は、美容医療のよくある質問から4つ選んでお答えします。お話を伺うのは、どうたいクリニック美容皮膚科院長の岡部圭介医師と、設楽敦子看護師です。

★目まわりの手術とは★

Q1 同じ施術でも、クリニックによって料金が異なるのはなぜ?

A 自費診療は自由に料金が決められる。地域の相場をチェックして参考に

病気を治す保険治療では、治療内容・行為ごとに、料金(保険の点数)が決まっているため、病院やクリニックが勝手に料金を決めることはできません。一方、美容医療クリニックは自費診療のため、クリニックが独自に料金を設定できます。

難しいのは、料金と効果や患者の満足度は必ずしも一致しないことでしょう。「料金が高いから、効果が高い」、「料金が高い施設のほうが、より満足度の高い施術を必ず受けられる」わけではありませんし、「料金が安いから、効果がない」というわけでもありません。

施術で使う薬剤、機器などにかかる費用の他、場所代(家賃など)、技術料(施術を行う医師の技量や知名度、医師が施術を行うのか看護師が行うのかなど)、スタッフの人件費、広告費用など、さまざまな要素を加味して、クリニックは料金を決めています。「この施術はどれぐらいの料金で受けられるのだろう?」と思ったら、自分が行ってみたいクリニックのある地域内で、複数のクリニックの費用をホームページなどで比較して検討するとよいでしょう。

Q2 医師の施術と看護師の施術。選べる場合は、やっぱり医師のほうがいい?

A 経験値がモノをいうので、「医師のほうが絶対によい」とは言い切れない

美容医療クリニックでは、医師のみしか行えない施術もあれば、医師の指示のもと看護師が行うことができる治療もあります。さらに、医療行為でなければ、医師や看護師の資格がなくても行える施術もあります。

一般的に、技術を提供する職業では、経験が豊富な人のほうが上手なものですよね。

美容医療も同じで、美容医療経験が半年の医師より、ベテラン看護師のほうが安定した技術を提供できることもよくあります。ですから医師だからいい、看護師だからダメと単純には言い切れません。

看護師の経歴までホームページに掲載しているクリニックは少ないでしょうけれど、まず医師の経歴は事前に確認し、美容医療医師としての経験がどれぐらいあるのかを確認しておくと安心です。可能であれば、患者の口コミなども参考にするとよいでしょう。

Q3 問診票の「お悩みは何ですか?」という質問に、シミ、シワ、たるみと正直に答えたら、いろんな施術をたくさん勧められた。どうすればいい?

A 「どの悩みを一番改善したいか」、自分の中で優先順位をつけて受診を

マチュア世代になれば、複数の悩みを抱えているのが当たり前です。ただ美容医療は自費診療のため、費用もそれなりにかかります。ですから複数の悩みがある場合、「どの悩みを一番改善したいか」、自分の中で優先順位をつけて受診するとよいでしょう。

診察室やカウンセリングルームに入ったら、最初に一番気になる悩みについて相談して、その悩みを改善するために、どんな選択肢があるのかを説明してもらいましょう。その後、次に気になる悩み、その次に気になる悩みというふうに、自分の頭の中を整理してから医師のアドバイスを受けるようにすると、迷いにくいのではないでしょうか。

たくさんの説明を受けて迷ったら、いったん持ち帰ってじっくり考えるのもよいでしょう。美容医療は「一日でも早く受けなければいけない治療」ではありません。しかし、当日施術まで受けるつもりで予約を取っていて、いきなり施術を受けないと言った場合、施設によってはキャンセル料が発生する可能性もあるので気をつけましょう。

「施術を受けるかどうかは、説明を受けた後に決めたい」「迷ってしまうかも」と思ったら、まずは診察・カウンセリングのみで予約を取って、施術は後日受けると予約時に伝えておくとスムーズです。

Q4 ずっと続けないと、美容医療は受けても意味がない?

A 1回で悩みが解消する施術もある。「イベント前にキレイに」など目的をもって受けると満足度もアップ

たとえば濃いシミなどは1回の施術で薄くなる、目立たなくなる可能性の高い治療です。それでも日焼け対策をしない、加齢などによって、またシミができることはあるでしょう。また、ホクロやイボを取る手術治療、眼瞼下垂の手術治療などは、いちど治療を行えばまた元通りに戻ってしまうことはありません。

一方、ボトックスやヒアルロン酸などの治療でシワが目立たなくなり、たとえば「マイナス5歳若返った!」としても、そこからまた肌は年を取っていきます。ゆるんでいたフェイスラインが糸リフトの効果ですっきりとしたとしても、月日の経過とともにゆるみ、たるんできます。

美容医療にネガティブなイメージを持っている人は、「施術や治療をやめたら、どうせ元に戻ってしまうんでしょ」と言いますが、それはその通り。残念ながら美容医療の力をもってしても、エイジングの影響を一度で永遠に止めることはできません。
「だから美容医療は受けない」という考え方もあり、でしょう。

でも、定期的なメンテナンスを継続することで、何もせずに放置した場合と比較すると大きな差が出てくることは確かです。

「毎日鏡を見るたびに、気になっていたシミが薄くなる」「メイクでは隠せなかったシワが目立たなくなる」だけで、気分はガラリと変わると思いませんか? また、同窓会や知人の結婚式、旅行などの前にクリニックに行って悩みを改善する、のように美容医療と上手につきあうことでより楽しく、前向きな毎日になるのではないかと思います。


監修者
どうたいクリニック美容皮膚科院長・慶應義塾大学形成外科専任講師 岡部圭介

静岡県浜松市出身。2004年 慶應義塾大学医学部卒業。2014年 同大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)。同大学形成外科助教を経て、2016年から慶應義塾大学形成外科専任講師。専門は先天性顎顔面疾患の手術治療、きずの治療など。
【所属学会】日本形成外科学会(専門医・指導医)、日本創傷治癒学会(評議員)、日本創傷外科学会(専門医)、瘢痕・ケロイド治療研究会(理事)、日本再生医療学会、日本褥瘡学会、血管生物医学会

監修者
どうたいクリニック美容皮膚科看護師長 設楽敦子

北里大学看護学部卒。北里大学病院中央手術室に11年間勤務。出産・子育てを経て、どうたいクリニック入職。韓国の美容医療事情にも精通している。

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