消防署で6校入学式 輪島の小学校、黙とうも

合同入学式に臨む新1年生=8日午前9時40分、輪島市の輪島消防署

 能登半島地震で大きな被害を受けた輪島市や穴水町などの小中学校の入学式が8日、行われた。輪島市中心部では6小学校が輪島中の校舎で一緒に授業を行う新体制となる。例年と違う学習環境となり、新入生は期待と不安が入り交じった表情で記念の日を迎えた。

 輪島市の河井、鳳至(ふげし)、鵠巣(こうのす)、大屋、河原田、三井の6校は、校舎が被災するなどしたため、入学式を輪島消防署で3校ずつ2回に分けて行った。会場では式を前に地震の犠牲者に黙とうがささげられた。

 式で新1年生たちは名前を呼ばれると一人ずつ「はい」と元気よく返事した。鳳至小の山岸多鶴子校長は「怖い思いをしましたね。つらい生活をしてきてますね」と地震について触れ「周りにたくさんの友達がいる。楽しく元気に過ごしていきましょう」と優しく呼びかけた。

 鳳至小に入学した酒井稀冬(まと)君(6)は「勉強を頑張りたい」と意欲を見せ、父の自営業透さん(35)は「6年間で輪島の様子も変わっていくと思うので、自分の目で見てもらいたい」と願った。河井小に入った小川有喜(ゆうき)さん(6)は「違う学校の人がいるので不安もある」と心境を語った。

 同市門前東小の体育館では、門前西小との合同入学式が行われた。真新しい制服に身を包んだ新入生が上級生に手を引かれ、はにかみながら入場した。

 輪島市内の9小学校には約70人が入学した。輪島中の校舎を使う6小学校は2学期から、河井小で建設している仮設校舎で授業を行う。

  ●穴水65人が門出 3小中

 穴水町内では穴水小と向洋小、穴水中の3校で行われ、児童生徒計65人の門出を祝福した。

 地震で校舎が大きな被害を受けた穴水小の式は穴水中で行われた。新入生23人に対し、児童代表の白藤美澄さん(6年)が「一緒に笑顔あふれる楽しい小学校にしましょう」と歓迎の言葉を贈った。児童は1学期は穴水中で授業を受け、2学期からは穴水小に建設する仮設校舎に移る予定だ。

 向洋小は3人、穴水中は39人が入学した。3校の式では、サッカー日本代表、板倉滉選手のビデオメッセージが流された。

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