避難時の心境 作品に 福島県広野町の鶴田松盛さん 富岡町で風景画展 「原発事故の記録、見て」

原発事故による避難中に描いた作品を展示している鶴田さん

 福島県広野町の画家鶴田松盛さん(89)の心象風景画展は7日、富岡町文化交流センター「学びの森」で始まった。5月5日まで、東京電力福島第1原発事故による避難生活中の心境を表した作品を展示している。

 作品は2011(平成23)年4月から2012年6月まで埼玉県志木市、上尾市に避難していた間に描いた。守ってくれるものがないとの心情を描いた「傘が無い」シリーズ、コミュニティーを失った寂しさを表した作品など25点が並ぶ。今年3月に楢葉町で3日間開催した作品展の反響が大きかったのを踏まえ、多くの人に見てもらおうと約1カ月の開催期間とした。

 鶴田さんは福岡県朝倉市出身。中央大法学部卒業後、機械加工の企業に就職し、34歳の時に広野町の工場に転勤した。40歳の頃から本格的に絵を描き始めた。双葉郡美術協会を設立し、25年にわたり会長を務めた。今回の作品展に当たり、「原発事故の記録として、避難していた心境を見て、感じてもらいたい」と話している。

 時間は午前9時から午後5時(最終日は正午)まで。入場無料。鶴田さんは会期中、日曜日の午後1時から3時まで会場にいる。来場者に作品を解説する。

(相双版)

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