「あなた」と考える国際女性デー④ 【どうする?男女平等に拒否感】 組織全体で認識、対話を

アンケートに寄せられた意見(抜粋)

 世界的にもジェンダー平等が進まない日本。国際女性デー(3月8日)に合わせ、長崎新聞社の双方向型報道窓口「ナガサキポスト」で性差による「生きづらさ」をテーマに実施したアンケートでは、男性からも女性からも多くの違和感が寄せられた。回答と専門家の見方を通して、誰もが生きやすい社会へのヒントを探る。

 -男女で埋められない体力差はあるが、「男女平等」ってどう考えたらいいの?(60代女性) 「男女平等」の変遷を説明してくれたのは、キャリア研究所(福岡市)の園田博美代表取締役。「教育や仕事などのチャンスは、男女でほぼ同様に近づいている」。現在、すべての人が同じように能力を発揮できる条件を整える「公平性」にフェーズ(段階)が変わっていると解説。今、望ましい社会とは「すべての人に公正な機会を与え、誰かが不当に陥った状態に置かれることがなく、多様な背景を受容できる状態」と言う。

 -「男女平等」と聞くだけで耳をふさぐ人にどうすれば聞いてもらえるのか。(20代女性) 「社会や組織など受け止める側が『個人の意識を変える』という表面的なところにとどまっている」。長崎大ダイバーシティ推進センターの矢内琴江准教授は、組織内のメンバー間で認識を擦り合わせるなど、全体での意識共有の必要性を指摘する。

 「『男は仕事、女は家庭』が当たり前で幸せな家族の在り方」と考える人の中には「新しい価値観を受け入れるのは苦しい人もいるだろう」と推し量る。「理解を求めるだけでなく、その人が言いたいこと、大事にしたいことを考えながら、1対1の関係で対話することが大事」とした上で、「今すぐ変わることを強いることはできないが(その価値観を)『押しつけないで』と言っていい」。

 -男女平等だけでなく、男女の枠を超え、お互いを理解し調和するために、子どもたちに何を伝えたら良いのかを教えてください。(40代女性) 長崎純心大の鈴木千鶴子客員教授は、親自身が「他の人に偏見を持った見方をしていないか」という一方、子どもに対しては「個性や考えを尊重し、選び取るものを見守ることが大切」と話した。

 回答の中には、男性から「子どもの進路が世間の男女観と違い、受け入れたがハラハラする」といった意見もあった。鈴木客員教授は「対応としては正解」と太鼓判を押す。

 親にとっても身近なジェンダーの問題は価値観を変える良いきっかけになる。「興味がある子どもに変な情報を入れてしまうより、性教育を含めて男女の発達や違いも伝えることが大事」とし、家庭での教育の大切さを指摘した。

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