「紅麹不使用の商品への風評被害」も 自主回収に追われる創業159年の醤油メーカー「悔しい」【岡山】

小林製薬の「紅麹」を使ったサプリメントで健康被害が出ている問題で、岡山・香川でも商品の自主回収など影響が広がっています。

岡山市南区の醤油メーカーでは、健康被害を及ぼす物資が含まれていない紅麹を使用していたものの、対応に追われる事態に。さらには紅麹を使っていない商品への風評被害にも苦しんでいます。

問題の物とは違う紅麹を使用も...商品3000個が「産業廃棄物」に

(キミセ醤油・永原琢朗社長)「こんな感じですね」

ーどういったものですか?

(キミセ醤油 永原琢朗社長)
「一旦お客さんの元にお届けしていて、まさに食べごろを迎えようとしていたけれども返品、回収したものです」
「産業廃棄物で処分します」

きょうまでに自主回収した商品は、3000個に及ぶといいます。

(キミセ醤油 永原琢朗社長)
「『これから処分する』とは言っても、大事な我々のわが子みたいなもの」

今年で創業159年を迎えるキミセ醤油です。紅麹原料を使った商品は「紅麹みそ」と「紅麹ごはん」の2種類。どちらも小林製薬から仕入れた紅麹を使っていますがこれは問題となっている物とは異なるもので、健康被害を及ぼす物質は確認されていません。

しかし消費者の不安を考え、自主回収に踏み切りました。特に味噌は、約25年前から大切に作り続けてきた人気商品でした。

(キミセ醤油 永原琢朗社長)
「『今年の味噌は一段とおいしいね』とかお声を頂きながら、お客さんとコミュニケーションを取りながら育ててきたという商品なんで」
「残念…」

回収、返品...問い合わせの電話は1日1000件の日も

一般家庭への販売が主体のため、従業員が一軒一軒まわり回収。引き取りや返品にかかる費用負担も大きいといいます。

(対応する従業員)「ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」

本社事務所では、消費者からの問い合わせの電話が鳴り止みません。多い日には1000件近くもあったといいます。中には…。

(対応する従業員)
「いつもご購入いただいている『五黒まろやか酢』には、紅麹は使用しておりませんので安心してご利用ください」

醤油や出汁など、紅麹を使用していない商品の安全性まで不安視する声も多くあるといいます。

(キミセ醤油 永原琢朗社長)
「大丈夫なんか、そんなおかしなものを売っていた会社は信用ならん、という風に。それも全くの誤解なんですけども口にされる方もおられるし」
「くやしいですね」

「発酵物は危険だ」と思ってほしくない

このままでは、今月の売り上げは例年の3分の1になりかねないーさらに、明治時代から作り続けてきた発酵食品そのもののイメージも悪くなるのではと不安は募ります。

(キミセ醤油 永原琢朗社長)
「発酵物は危険だという風に皆さんが思わなければいいなと」
「お客様に向き合って、逃げもしないし逃げる理由もないし、とにかく前を向いてやっていくのみです」

【スタジオ解説】
小林製薬が作っている紅麹ですが…
・主にサプリメントなどに使われている紅麹
・食品や、食品の着色・風味付けに使われている紅麹
があります。

腎臓などへの健康被害が報告されているのは、サプリメントなどに使われているもので、キミセ醤油などが使っている食品用の紅麹には、問題の成分は含まれていないことが確認されています。それでも自主回収に踏み切ったということです。

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