「布施の山祭り」勢い余り斜面転げ落ちる男衆 神木に「帯締め」、林業の安全祈願 島根県隠岐の島町

かずらを締め込む際、転倒する帯締め人たち(手前)=島根県隠岐の島町布施、大山神社

 古くから林業が盛んな島根県隠岐の島町の布施地区で7日、林業の安全を祈る県指定無形民俗文化財「布施の山祭り」が営まれた。法被姿の保存会メンバーが、木やり歌に合わせてスギの巨木にかずらを巻き付ける「帯締(おびし)め」を行い、次々と斜面を転げ落ちた。

 江戸時代から布施地区に伝わる山開き行事として2年に一度開かれる。コロナ禍に伴い、伝統に沿った形で実施するのは6年ぶりとなった。

 法被姿の山祭り保存会(砂川祐一会長)の男衆25人が、海辺の春日神社にある社務所で朝祝いの膳で勢いをつけ、太鼓と木やり歌に合わせて行列を組んで地区内を練り歩いた。

 山中にある大山神社に到着すると、高さ45メートル、直径7メートルの神木にかずらを巻き付けた。男衆は全身を使って激しく揺さぶり、勢い余って頭から転げ落ちると、待ち受ける子どもたちが木の葉を振りかけた。最後にかずらを7周半巻いて、祭りを締めくくった。

 帯締め人として初めて参加した同町岬町の町職員林知希さん(23)は「昔ながらの文化を感じ、激しさと楽しさがあった」と振り返り、山口泰弘区長(76)は「6年ぶりの祭りがにぎやかにできた」と喜んだ。

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