〈2024年問題〉8割超「知っている」けれど…鹿県内企業6割「影響ほぼない」 悲鳴上げる運輸業と温度差くっきり 大同生命保険調査に県内150社回答

〈資料写真〉産地で集荷した農産物を別のトラックに積み替える実証実験=2023年12月、鹿児島市本港新町(画像の一部を加工しています)

 運輸業と建設業に1日から導入された時間外労働(残業)の上限規制について、「ほとんど影響はない」と回答した鹿児島県内の企業が63.5%に上ることが、大同生命保険(東京)の調査で分かった。残業規制による人手不足で、物流停滞などの「2024年問題」が懸念される中、同社は「運輸・建設業の苦しみに対する理解が進んでいない」と分析している。

 「ほとんど影響がない」の全国平均は55.7%で、鹿児島は都道府県別では4番目に高かった。業種別では運輸業以外のサービス業が92.3%と最も多く、建設業(61%)、製造業(58.8%)と続いた。運輸業で選択した企業はなく、85.7%が「マイナスの影響がある」と回答した。

 事業者からは「運賃の値上げをしたいが、長年の付き合いもありなかなか難しい」と価格転嫁などが一向に進まない現状を訴える声のほか、「このままでは事業縮小しかない」(運輸業)、「同一人員での生産量の減少が心配」(建設業)といった声が寄せられた。

 24年問題については、85.9%が「知っている」を選んだ。大同生命は「業界の垣根を越えた理解が必要だが、他業種でも物価高騰などが影響し自社経営だけ目いっぱいな状況」としている。

 調査は2月1~28日に実施。全国7295社に聞き取り、県内は150社が回答した。

〈資料写真〉路線バスのダイヤ改正後の時刻表を撮影する利用客=鹿児島市中央町

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