【ベトナム】繊維・衣料品、輸出や受注に回復の兆し[繊維]

ベトナムの繊維・衣料品業界では多くの企業で第1四半期(1~3月)の輸出が前年同期比で拡大するとともに、4月以降の受注も確保できており、明るい兆しが見えている。一方で紅海情勢の緊迫化や顧客から求められる環境対応など新たな課題もあり、企業は多事多端だ。VNエクスプレスが8日伝えた。

ベトナム衣料製造大手の国営第10縫製総公社(Garco10)の第1四半期の売上高は前年同期比24.2%増の1兆1,280億ドン(約4,520万米ドル、68億5,760万円)だった。タン・ドク・ベト社長によると、第2四半期(4~6月)も受注は確保しており、第3四半期(7~9月)分の注文も入り始めているという。

南部ホーチミン市に拠点を置くサイゴン第3縫製社の代表者も、特に米国向けで輸出が回復傾向にあり第1四半期の売上高は前年同期を上回ったと説明。6月まで受注を確保しているという。

ベトナム繊維アパレル協会(VITAS)のブー・ドク・ザン会長は、受注は回復傾向にあると指摘し、2024年の業界全体の輸出額目標である440億米ドルは達成可能との見込みを示した。23年の輸出額は前年比8.4%減の403億米ドルだった。

ただ先行きについては、紅海の緊張やロシアとウクライナの戦争など世界情勢が緊迫化により多くの企業が楽観視していない。

第10縫製のベト氏は特に紅海の紛争により輸送コストが上昇し、利益が縮小していると指摘。デジタル化や拡大生産者責任(EPR)、環境・社会・企業統治(ESG)などへの対応も企業の負担になっていると説明した。

VITASのザン氏も、ベトナムの繊維・衣料品の主要輸出先である欧州連合(EU)の品質基準に合わせて企業がグリーントランスフォーメーション(GX)を含む生産体制の見直しを迫られていると指摘した。

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