【ASEAN】ASEAN経済、AMROは4.8%成長予測[経済]

シンガポールにある国際調査機関の東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3マクロ経済調査事務局(AMRO)は8日、2024年のASEAN10カ国全体の国内総生産(GDP)が前年比4.8%成長するとの予測を明らかにした。23年見込みの4.2%を上回る見通しだ。

同日に発表した24年版のASEANプラス3地域経済見通し(AREO)で、10カ国のうちミャンマーを除く9カ国で24年のGDP成長率が前年より高い水準になると予想。最大はフィリピンの6.3%で、23年の5.6%を0.7ポイント上回るとみている。カンボジア(6.2%)やベトナム(6.0%)も前年から成長率が伸びる見込みだ。

域内最大の経済規模のインドネシアは23年の5.0%から5.2%へと小幅な伸びにとどまる見通し。マレーシアは3.7%から5.0%、タイは1.9%から2.9%、シンガポールは1.1%から2.6%へとそれぞれ堅調に成長する予測となった。

一方、ミャンマーは前年を0.2ポイント下回る3.2%となる見込みだ。

24年のインフレ率は、ASEAN10カ国全体で5.2%となり、23年見込みの8.0%を大きく下回る見通しだ。最大はミャンマーで16.1%。23年の24.4%を下回るものの、依然として2桁のインフレが続くとみられる。

ASEAN主要6カ国ではフィリピンとベトナムがそれぞれ3.6%になる予測。シンガポールは23年の4.8%から3.0%、インドネシアは3.7%から2.8%へとそれぞれ低下する見込みだ。マレーシア(2.5%)、タイ(1.2%)は23年から横ばいだ。

AMROのコー・ホーイー・チーフエコノミストは域内の経済見通しについて、「堅調な内需や輸出回復を受け、24年から25年にかけて経済成長のモメンタム(勢い)を維持するだろう」と述べた。

半導体サイクルの回復や小売業界での耐久財の販売拡大、観光業の成長が下支えするとも指摘。中国経済の回復期待が高まっていることもプラス材料になると付け加えた。懸念事項としては地政学的緊張の高まりや先進国の景気回復の遅れなど挙げた。

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