遮断機や警報機ない踏切、県内15カ所 事故の危険、解消進まず 「住民の意見尊重」など理由

遮断機や警報器がないJR烏山線の踏切=8日午後、高根沢町文挾

 群馬県高崎市の上信電鉄で6日、遮断機や警報機がない「第4種踏切道」で小学4年の女児が列車にはねられ死亡した事故に関連し、本県内のJRやわたらせ渓谷鉄道、真岡鉄道に4種踏切が計15カ所あることが8日、鉄道各社への取材で分かった。国土交通省は事故につながる危険性が高いとして、鉄道事業者へ解消に取り組むよう呼びかけているが、約2年前に比べ減っていない。事業者は「存続を望む住民の意見を尊重している」「(遮断機を付けるには)道路の拡幅工事が必要」などと説明している。

 鉄道各社によると、県内の4種踏切はJR日光線6カ所、同烏山線3カ所、同両毛線1カ所、わたらせ渓谷鉄道4カ所、真岡鉄道1カ所の計15カ所。

 同渓谷鉄道はいずれも日光市足尾地内。JR東日本高崎支社によると、両毛線は足利市通2丁目地内で、同大宮支社は設置場所を公表していない。真岡鉄道は茂木町茂木地内にある。

 2021年12月時点で県内の4種踏切は計14カ所だった。同渓谷鉄道でその後、企業敷地内にあり閉鎖されていた1カ所が使用されるようになり、21年12月時点に比べ1カ所増えた。

 国交省によると、遮断機や警報機が設置された踏切に比べて4種踏切の方が2倍程度、事故発生の割合が高く危険とされる。県内では18年7月、足利市栄町2丁目のJR両毛線の4種踏切で、自転車を押していた高齢者がはねられ死亡する事故があった。

 4種踏切の実態調査を行った総務省は19年11月、解消を進めるよう国交省に勧告。国交省は鉄道事業者に解消を呼びかけた。19年度末時点で県内には34カ所あり、全国で年々減少してきた。しかし近年、本県では足踏み状態が続いている。

 真岡鉄道は、住民が踏切を利用している現状などを踏まえ、「付近住民や自治体の理解を得なければいけない」と説明。「警報機や遮断機を付けるには道路拡幅などの必要があり、進められない」とした。JR東日本の担当者は「廃止や統廃合が望ましいと考え、関係自治体と協議を進める」と話している。

 国交省によると、踏切の区分は遮断機がある1種が一般的で全国の91%を占める。警報機のみの3種は2%。4種は7%で全国に約2400カ所あり、新設はできない。保安係が遮断機を操作する2種は現在、設置されていない。

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