全国最年少の防災士が栃木県鹿沼市に誕生した。同市東小2年市野蒼(いちのあお)さん(7)。7歳6カ月で合格し最年少合格記録を5カ月早めた。5日、市役所を訪れ、佐藤信(さとうしん)市長に報告した。
市野さんは1月、母親由理(ゆり)さん(36)と、市が教材費などを補助する防災士養成講座を受講。その場で行われた学科試験を通過した。2月に救急救命講習を受け、3月25日付で防災士の認証登録を受けた。
幼児期からの消防ファン。6歳の時、東日本大震災の際に岩手県釜石市の中学生たちが小学生を率いて高台に避難し命を救った逸話「釜石の奇跡」を知った。知識があればみんなが助かる-。命を救う仕事への憧れから、地域住民に防災知識を広める防災士にも興味を抱いた。
学科試験は3択30問で気象や自然災害などの知識を問われる。正答率8割が合格ラインで、2023年度の合格率は91.7%。同年11月に勉強を始め「教材を読むのが難しかった」。漢字ばかりの専門用語に四苦八苦し、受講時に提出する穴埋めリポートは平仮名で埋めた。試験時は問題文の読解に苦労した。
日本防災士機構によると3月末現在、全国に28万4566人、県内には4593人の防災士がいる。これまでの最年少は2023年12月に7歳11カ月で合格した大阪府の小学生だった。
NPO法人県防災士会の稲葉茂(いなばしげる)理事長(72)は年少者の合格を喜ぶ。近年は県内で小学生の受験者が増加傾向。「災害が多発し、自助の重要性が高まっている。資格取得の動きが同世代にも波及してほしい」と話す。
市は合格記念にシンボル「ベリーちゃん」の縫いぐるみなどを贈った。市野さんの将来の夢は消防士。佐藤市長に「少年消防団が欲しい。地震や火事についてみんなと考えたい」と要望を述べた。