金沢駅長蛇の列消えた みどりの窓口に整理券 JRが試験導入

整理券システムが導入された金沢駅の「みどりの窓口」。長蛇の列は見られなくなった

  ●待ち時間長いが… 並ばなくてもOK

 JR西日本は今月から、金沢駅の切符売り場「みどりの窓口」に整理券を試験導入した。新型コロナの収束後、鉄道需要の回復に伴って平日でも長蛇の列ができていたが、整理券を入手すれば並び続ける必要がなくなり、利用客からは「待ち時間を有効活用できるようになった」と歓迎の声が聞かれる。ただ、手続きまでに要する時間は従来と変わっておらず、「窓口そのものを増やしてほしい」との不満もくすぶる。

  ●不満の声も

 金沢駅のみどりの窓口では、1年ほど前から混雑が目立つようになり、利用者が1時間以上列に並ぶことも珍しくなかった。今年3月には北陸新幹線が延伸し、敦賀での乗り換え切符の買い方を尋ねる客が増加。JR西は混雑緩和のため、4月2日から整理券システムを取り入れた。

 整理券は、みどりの窓口に設置された発券機から受け取れる。銀行や飲食店などと同様、順番が近づくと番号がモニターに表示される仕組みで、8日も整理券を手にした利用者が駅構内の土産コーナーやコンビニに向かう姿が見られた。

 JR西金沢支社によると、整理券にはQRコードも印字されており、スマートフォンで読み込めば通知を受け取ることもできる。福井駅までの切符を購入した輪島市の男性(62)は「あと何人待ちか分かるので便利。待ち時間にトイレにも行けた」と喜んだ。

 窓口には全5カ所の受け付けスペースがあり、時間帯によって3~5カ所を開けている。JRによると、人繰りの関係で全てに駅員を常時配置するのは難しく、混雑の一因となっていた。

 北陸新幹線が敦賀までつながったことで窓口の利用ニーズがさらに高まり、窓口前に大行列ができる日も。観光客からは「鼓門など外観は素晴らしかったが、駅としての役割は不十分だ」などとの声が聞かれていた。

 こうした不満を受け、JR側は整理券導入に合わせ、待機用の椅子約30脚も用意。「立ったまま並ぶよりずっと楽」と好意的な意見の一方で、津幡町の会社員女性(24)は「結局、切符を買うのに1時間以上かかった。待ち時間を快適にするより、待ち時間をなくす工夫がほしい」と注文した。

 JR西金沢支社によると、今後しばらく整理券システムの運用を続け、利用客の反応を見て本格導入するか決める。

 JRの担当者は「窓口の混雑対策を引き続き検討するとともに、切符や定期の大半を購入できる『みどりの券売機プラス』の利用や、ネットでの購入を周知したい」と話した。

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