現職警察官が捜査情報を外部に漏らした鹿児島県警…抜本的な組織改革なしに県民の信頼回復なし

警察官が捜査情報漏えい疑いで逮捕され、謝罪する鹿児島県警の牛垣誠首席監察官=8日午後、県警本部

(解説・現職警察官の捜査情報漏洩問題)

 鹿児島県警の捜査情報を現職警察官が第三者に漏らした疑いで逮捕された事件は、警察組織のあり方そのものが問われる事態だ。県民の安全安心を守る「最後のとりで」として、抜本的な改革案を示せなければ、信頼に足る組織に立ち戻れない。

 県警はこれまでに、個人情報を含む100を超す事件資料が流出した可能性が高いと発表。松村祥史国家公安委員長が「必要な指導を徹底する」と言及するなど前代未聞の経過をたどっていた。今回の逮捕が全容解明の端緒となるのか、事件の背景や構図、動機の解明は待ったなしと言える。

 県警は県民の寄る辺だ。同時に、圧倒的な権力を持つ捜査機関でもある。だからこそ、個人の資質による事件と過小評価すべきではない。100件を超える事件資料が漏れた可能性があるという重大性に組織全体で向き合い、県民が覚える不安に耳を傾けるべきだろう。

 県民対応を巡っては、県公安委員会から「相談者の心情に配慮した誠実な対応を」と指導されたことが明らかになったばかり。信頼回復へ向け、徹底的な検証と意識改革が求められる。

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