突然、ふくらはぎの筋肉がつり、ふくらはぎに激痛が走る「こむら返り」。痛くてつらいですよね。こむら返りが起きてしまったら、どうしたらいい? 出沢明PEDクリニック院長の出沢明先生に、対処法を教えていただきます。前回は緊急対策として「ひざ裏伸ばし」を解説しました。今回は、それでも治らないときの対処法をご紹介します。
★こむら返りの対処法★
ひざ裏を伸ばしても治まらないときには「ふくらはぎ伸ばし」
最もこむら返りを起こしやすいのは、ふくらはぎの表層にある腓腹筋です。しかし、より深部にある「ヒラメ筋」がつってしまうケースもあります。「ひざ裏伸ばし」でこむら返りが治まらない場合は「ふくらはぎ伸ばし」を試してみましょう。
「ふくらはぎ伸ばし」もやり方は簡単で、軽くひざを曲げたまま、ひざ頭に向かって、つま先をゆっくりと向けるだけです。
腓腹筋はひざの上(大腿骨の下部)からかかとまで伸びていますが、ヒラメ筋はひざ下の骨の上部からかかとまで伸びている筋肉であり、ひざをゆるく曲げたほうがより伸ばしやすくなります。
また、タオルや壁を使って行うと、ヒラメ筋はさらに伸びやすく、筋肉のけいれんによる痛みを和らげる効果が高まります。
腓腹筋はひざや足首の関節の動きに関わっていますが、ヒラメ筋は足首の関節の動きのみに関わっており、主に立っているときの姿勢を支えるために働いています。
そのため、ヒラメ筋がつることによって起きるこむら返りは、長時間の立ち仕事に従事する人や、よく歩く人、ウォーキングやジョギングが趣味の人などに比較的起こりやすいようです。
「ふくらはぎ伸ばし」のやり方
寝たまま行う「ふくらはぎ伸ばし」
ひざを軽く曲げたまま、つま先をゆっくりとひざ頭へ向ける。
タオルを使った「ふくらはぎ伸ばし」
ひざを軽く曲げたまま天井に足を向け、つま先にタオルをかけてゆっくりと手前に引っぱる。かかとを天井に向けて突き出すようにするとよい。
壁に押しつける「ふくらはぎ伸ばし」
ひざを軽く曲げたまま壁に足の裏をつけて、つま先をゆっくりとひざ頭へ向ける。
POINT
*上2つの方法のほうが、壁に押しつけるよりも効果が高い。つりやすい人は枕元にタオルを置いておくとよい。
*足のつりが解消され、痛みが和らぐまで続ける。深呼吸をしながら行うとよい。
伸ばしても治まらないときの対処法3つ
「ひざ裏伸ばし」や「ふくらはぎ伸ばし」を行ってもこむら返りが治まらない場合は、次のような対処法を試してみてください。
①いったん伸ばしてから縮める
足首をいったん逆方向へ動かして筋肉をリセットし、再び伸ばす。
②ミネラル入りの水分をとる
電解質異常を整えるため、コップ1杯のスポーツドリンクや経口補水液を飲む。塩をひとつまみなめてから水を飲んでもよい。
③トリガーポイントのマッサージを行う
筋肉の一部と筋膜(筋肉を包む薄い膜状の組織)が癒着してできたしこりが、痛みの発生源になっている可能性もある。このような筋肉のしこりを専門的には「トリガーポイント」と呼ぶ。トリガーポイントが発生しやすい部分をよくマッサージする。
イラスト/宮重千穂
※この記事は『「足がよくつる」人のお助けBOOK』出沢 明著(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。