第2の人生ヨーソロー! 68歳・元船長が一念発起、猛勉強重ね母校へ再び入学「物理分からぬまま、もやもや晴らしたい」

母校の鹿児島水産高校に入学した鮫島耕児さん=9日、枕崎市板敷南町

 鹿児島県枕崎市の鹿児島水産高校に9日、68歳の新入生が入学した。同校漁業科(現海洋科)卒業生の鮫島耕児さん=同市立神北町。船長として現役引退後に一念発起、今度は食品工学科を受験し合格した。入学式に臨み、2度目の高校生活に胸を膨らませた。

 南さつま市坊津出身の鮫島さん。1974年に漁業科を卒業し、水産会社や海洋調査機関で調査船などの船長を務めた。

 65歳で現役を退き、趣味で始めたバドミントンサークルで試験勉強をしている中学生を見て、向学心に火が付いた。高校時代に物理の授業がわからず、そのままで卒業したことにもやもやした気持ちもあった。

 「もう一度学び直したい」と参考書を買い込み、昨年10月から毎日7~8時間の受験勉強を重ねた。「船の仕事をする夢がかなったのは母校で学んだおかげ、恩返しの意味もある」という。

 同校体育館であった入学式には、本科と専攻科の新入生計127人が臨んだ。詰め襟の制服を着た鮫島さんは50歳以上年の離れた同級生とともに入場。福島聡校長が式辞で鮫島さんに触れ、「学びに年齢は関係ない。入学されたことに敬意を表す」と激励すると表情を引き締めた。

 食品工学科1年は26人。農水産物の加工実習や課題研究もある。鮫島さんは英語検定やさまざまな資格試験に挑む意欲満々。ホームルームの後、クラスメートに自己紹介し「いろいろ経験しているので、何でも相談して」と気さくに話しかけていた。

〈関連〉詰め襟の制服を身につけ、年の離れた級友と笑顔で談笑する鮫島耕児さん(右)=9日、枕崎市の鹿児島水産高校

© 株式会社南日本新聞社