「入荷が未定の状態」全国で「はしか」の感染確認相次ぐも需要と供給のバランスが…ワクチンが足りないワケ

全国で感染の確認が相次いでいる「はしか」。その予防策とされるのがワクチンですが、その数が静岡県内でも不足し始めていることがわかりました。足りなくなった背景を探りました。

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<東静岡クリニック職員>
Qはしかのワクチンは?
「こちらのMRワクチンになります。現時点では、4月1日に発注しているんですが、入荷が未定の状態になっています」

静岡市駿河区の東静岡クリニックでは、3月頃から「はしか」のワクチンが入らなくなってきたといいます。

<東静岡クリニック 白川京佐院長>
「新型コロナを経て、ワクチンや感染症に敏感に反応することが多くなり、問い合わせが来るようになり、(同じタイミングでワクチンも)入ってこなくなった」

東南アジアやヨーロッパなどで流行する「はしか」。国内でも2024年に入り、これまでに21人の感染が確認されています。

「はしか」は、38度以上の高熱や顔や腕に発疹ができるウイルス性の感染症です。
感染力が高いのが特徴の一つです。コロナの3倍以上、インフルエンザの10倍といわれ、空気感染するためマスクや手洗いでは感染を防ぐことが難しいとされています。そこでワクチン接種を希望する人が急増しているというのです。しかし…。

<静岡県感染症対策課 野田旬哉専門主査>
「ワクチンが一部自主回収であったりとか、出荷自粛になっているものがまずあります。心配されて、すぐに接種を希望する方が増えてますので、今後こういうのが続くと不足していく可能性が」

ワクチンを製造する製薬会社が効果が十分ではないとして、自主回収した一方、ワクチン接種を希望する人が増えて需要と供給のバランスがとれていないのです。

はしかを予防するには、2回のワクチン接種が必要です。子どもや基礎疾患がある人、妊婦の周りにいる人は、優先的に接種することが望ましいとされています。一方で、気を付ける必要がある世代もいるといいます。

<静岡県感染症管理センター 後藤幹生センター長>
「20、30代の方で、麻疹ワクチンを1回しか打っていない人、もしくは1回も打っていない人が多い年代がいますので、その方はかかる可能性があります」

「はしか」のワクチンは、1978年から2005年までは基本的に1回の定期接種。さらに1977年より前は任意だったことから、接種したことがない人も多いとみられます。

ただ、国の2022年度の調査では、国内で85%の人が十分な抗体を持っているとされ、冷静な判断が必要だと専門家はいいます。

<静岡県感染症管理センター 後藤幹生センター長>
「ぜひ、接種回数の確認や血液検査の抗体検査をしてもらって、免疫の強さを見てからワクチン接種をお願いしたい」

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