船舶行き交う鹿児島湾でクジラ目撃情報 種子屋久沖でも、鹿児島海保「航行に注意を」 奄美では観賞ツアーが過去最大のにぎわい、確認頭数も過去3番目の多さ

奄美大島近海を回遊するザトウクジラ(奄美クジラ・イルカ協会提供)

 鹿児島海上保安部によると、9日午後1時15分ごろ、鹿児島市桜島横山町の沖小島から南西約2キロの鹿児島湾で、垂水フェリーの乗組員がクジラ1頭を目撃した。同海保によると、大きさは7~8メートルで、種類は分かっていない。同海保は航行する船舶に衝突への注意を呼びかけている。

 かごしま水族館によると、鹿児島湾内でクジラが目撃されるのは珍しい。同海保には種子島沖や屋久島沖など今年に入って計7件の目撃情報が寄せられており、湾内は今回が初めて。湾内では昨年もマッコウクジラとみられるクジラが目撃されている。

 鹿児島県・奄美大島近海でザトウクジラ観賞を目的としたツアーの参加者が、2024年1~3月に7325人と過去13年の同期に比べ最多を更新した。地元のダイビング業者でつくる奄美クジラ・イルカ協会が9日までに明らかにした。また23年11月~24年3月に確認されたザトウクジラの数は、前年同期とほぼ同水準の1634頭。調査を始めた06年以降3番目に多かった。

 ツアー参加者は3年連続で増加。同協会の興克樹会長(53)は「リピーターが多く、冬の観光として定着している」と手応えを語った。参加者のほぼ半数が、クジラと一緒に泳ぐホエールスイムも体験した。協会はクジラへの影響を考慮し、今季から一緒に泳ぐ回数を制限する自主ルールを設けている。

 ザトウクジラの出現数は1月中旬から増え始め、2月中旬にピークを迎えた。母子を含む群れは300群と過去最多で、大島海峡や請島、与路島近海など島南部で多く見られた。興会長は「安心して子育てや休息ができる環境だと改めて明らかになった」と話した。

 ザトウクジラは体長十数メートル、体重20~30トン。夏場はロシア極東カムチャッカ半島付近で過ごし、冬場は繁殖や子育てのため奄美や沖縄近海に移動する。

奄美大島近海を回遊するザトウクジラの親子(奄美クジラ・イルカ協会提供)
奄美大島近海を回遊するザトウクジラの親子(奄美クジラ・イルカ協会提供)

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