養鰻業者が挑む「陸サーモン」 ウナギに次ぐブランドに…豊富な地下水、バイヤーに好評「臭みない」 薩摩川内

薩摩川内鰻の養殖場のいけすで育つトラウトサーモン=9日、薩摩川内市宮崎町

 鹿児島県薩摩川内市の養鰻(ようまん)業・薩摩川内鰻(うなぎ)=佐藤光信社長=は同市宮崎町の養殖場の一部を活用し、トラウトサーモンの養殖を始めている。「薩州サーモン」のブランドで2025年度から出荷を本格的に始め、ウナギに続く柱の事業化を目指す。

 ウナギの稚魚のシラスは年によって採れる量にばらつきがあるのに対し、人工ふ化ができるトラウトサーモンは安定しているのが特徴。刺し身などで人気が高い。同社は1月に大分の業者から1匹200グラムほどの1500匹を仕入れた。42基のいけすのうち2基を使い、現在は1匹1.4キロ程度まで育っている。

 水温を約15度と低く設定すること以外、養殖環境はウナギに近い。いけすは豊富な地下水による掛け流し式で、バイヤーによる試食会では臭みがないと評価が高かったという。

 2キロほどになる9月から出荷予定。水の冷却設備を整えて生産を本格化する25年度は、年間100トン(4万匹)を計画する。村上哲也専務(50)は「ウナギと同様に薩摩川内のブランドに育て、地域に貢献したい」と語った。将来的な海外輸出も視野に入れている。

〈別カット〉薩摩川内鰻の養殖場のいけすで育つトラウトサーモン=9日、薩摩川内市宮崎町

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