伏木再生、和菓子に願う 被災の地元店 あんや小豆でけんか山など表現

仮店舗で営業に励む越村さん夫婦=高岡市伏木中央町

  ●復興する町イメージ

 能登半島地震で大きな被害を受けた高岡市伏木地区の和菓子店「こし村百味堂」(伏木中央町)は復興へ向かう伏木の町をイメージした上生菓子を作った。被災した町や「けんか山」で知られる伏木曳山祭などを色とりどりのあんや小豆で表現した。住民が困難に立ち向かう姿を和菓子で伝え、街の再生を願っている。

 菓子は「復興の街」と名付けた。こしあんに大納言小豆をまぶし、道路が破損したり液状化したりした街の現状を表現。その上に色鮮やかな赤や黄色の練り切りあんで花畑をイメージし、紫色のチョウチョも配して、未来の復興した街の雰囲気を表した。

 チョウチョは伏木曳山祭(ひきやままつり)の山町の一つ「湊町」の山車(やま)のシンボルにもなっている。祭りは5月17、18日の開催が決まり、復興祈願と伝統の継承へ関係者が準備を進めている。菓子には祭りが伏木に元気をもたらす契機となる願いも込めた。

 1931年に創業したこし村百味堂は、元日の地震で店舗兼自宅が大規模半壊となり、店舗向かいの作業所を仮店舗として1月5日に営業を再開した。従来の7割ほどの商品を提供できるようになったが、設備は完全に復旧していない。

 店舗兼自宅は解体を検討しており、現在は近くで店舗再建の土地や物件を探している。代表の越村淳平さん(50)は、伏木の町の現状や、復興へ汗を流す住民がいることを和菓子を通して伝えようと、菓子を作った。

 越村さんは「少しずついい方向に進み、元通りの祭りができ、にぎやかな伏木の町が戻ることを願っている」と話した。

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