運転中に横断歩道で一時停止→歩行者が「お先にどうぞ」と合図…車発進したら違反になる? ポイントは「意思疎通が図れているか」

手を上げた横断歩道の渡り方を練習する園児ら=鹿児島市のたけおか保育園

 春の全国交通安全運動(4月6~15日)の重点項目の一つに歩行者優先意識の徹底が挙げられる中、信号機のない横断歩道を車で通る際の質問が南日本新聞「こちら373」に寄せられた。「歩行者に『お先にどうぞ』と合図されて進んだ場合、違反になりますか」

 道路交通法では、歩行者が横断中、または横断しようとしている時は車の一時停止を義務付けている。違反すると横断歩行者妨害に当たり、最大1万2000円の反則金などが科せられる。鹿児島県警は2023年に2208件を摘発した。

 交通指導課によると、運転者が一時停止中、歩行者の譲る意思を確認できた場合、違反にはならない。一方、手を差し出すなどの動作だけでは歩行者の意思が「譲る」なのか、「止まれ」なのか正しく確認できないことがあるとも指摘。つまり、歩行者との意思疎通が図れているかが鍵となる。同課は「基本は歩行者優先。まずは一時停止するよう心がけてほしい」とする。

 日本自動車連盟(JAF)の23年の調査によると、県内で信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとする際に一時停止する車の割合は42.8%。全国平均の45.1%を下回っている。

 84.4%で8年連続1位となった長野県のJAF支部は「手を上げる、アイコンタクトなど、歩行者が意思表示する意識が他県より高いのでは」と分析。同鹿児島支部推進課の原山大器さん(40)も「歩行者側の安全意識の醸成、意思表示の推進が課題」と指摘する。

 鹿児島市安心安全課は、新入生などの交通事故が増える新年度を前に、学校や企業で交通安全教室を展開。たけおか保育園(武岡2丁目)の園児約70人は3月18日、横断歩道手前での安全確認や手を上げた横断など、安全な横断歩道の渡り方を学んだ。安心安全教育指導員の田丸博子さんは「歩行者は自分に非がなくても事故に巻き込まれる可能性がある。歩行者からアクションを起こす大切さも指導していく」と話した。

■ゼブラゾーン通行は違反になる?

 交差点や右折レーンの手前などにしま模様のように白線が並ぶ「ゼブラゾーン(導流帯)」について、通行すると違反になるかという質問も寄せられた。

 鹿児島県警交通規制課によると、右折レーンへの車線変更などスムーズな通行を促すために設置され、道交法では導流帯上を走行しても違反にならない。他県では導流帯上をみだりに運転することを規則で禁止する自治体もあるが、鹿児島県は制定していない。

 同課は「あくまで誘導するためのもの。上を走行する場合はしっかり安全確認するよう心がけて」とする。

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