少子化歯止めへ、結婚や子育てなど総合支援 県が推進本部設置 当事者目線のWGも新たに

 深刻化する少子化に歯止めをかけるため、栃木県は9日、県こども未来推進本部を設置した。福田富一(ふくだとみかず)知事が本部長を務め、結婚や妊娠、出産、子育てなどの施策を総合的に推進する。若手や子育て世代の職員によるワーキンググループ(WG)も新たに立ち上げる予定。当事者目線の議論を活発化させ、部局横断的に少子化対策に取り組む。

 1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」が、本県は2022年に1.24となり、3年連続で過去最低を更新した。全国平均(1.26)や隣県の群馬(1.32)、茨城(1.27)を下回る。出生数も1万518人で前年から約千人減少した。

 従来の県子ども・子育て支援本部を改組し、今回の推進本部を設置した。支援本部では、子育て施策などを中心に議論していたという。

 推進本部では子育てに限らず、結婚や出産の支援、家族で家事を分担する「とも家事」の普及など幅広い分野について議論し課題を共有。昨年8月に策定した「とちぎ少子化対策緊急プロジェクト」の進行状況の確認なども行う。

 子どもや子育てに関する施策の基本の一つとなる「県こども計画(仮称)」(25年度~)の策定に向け、骨子案の議論も行う。構成メンバーは各部局長らで、会合は年に数回開催する予定。

 WGは少子化などに関連する部署の職員らでつくる見込み。子育て環境や結婚支援の課題などに関して当事者目線で意見を交わし、施策立案に生かす。

 9日の定例記者会見で、福田知事は「結婚願望がかなえられないという課題、結婚したとしても子どもを持ちたがらないといった課題がある」と指摘。「結婚支援の充実、子育て環境の整備、働き方改革の推進など、各種施策の成果をつなげて相乗効果を発揮させ、少子化トレンドの反転を目指していく」と述べた。

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