スポンサー契約解除・新型コロナ・ケガ…“苦労人オリンピアン” 競泳平泳ぎ・武良竜也選手が引退発表 「水泳は僕の人生そのものだった」 今後はどうする?

東京オリンピックでは2種目で入賞を果たした鳥取県米子市出身の競泳平泳ぎの武良竜也選手が、10日、現役を引退すると発表しました。
スポンサーの契約解除やけが。
多くの苦難を乗り越えてきた苦労人が10日、BSSの取材に応じ、今の心境を語ってくれました。

競泳 武良竜也選手
「自分の水泳人生ここまで22年間やってきたが、それに終止符を打つという形で、引退を決意させていただきました」

BSSのインタビューに対しこう話すのは、鳥取県米子市出身の競泳男子平泳ぎ・武良竜也選手(27)です。

東京オリンピックでは男子平泳ぎ100メートル・200メートルと、400メートルメドレーリレーに出場。
200メートルで7位、メドレーリレーでは6位と、競泳鳥取県勢初のオリンピック入賞という快挙を成し遂げました。

華々しい活躍…しかし、武良選手のこれまでの道のりは決して平坦なものではありませんでした。

競泳 武良竜也選手
「もう水泳を、そこで本当にやめようかなと思って…」

2021年、BSSのインタビューに対してこう明かした武良選手。
実は、オリンピック出場前にスポンサー契約を解除された過去がありました。
「引退」の2文字が頭をよぎる中、アルバイトをしながら練習を続ける日々を過ごしました。

競泳 武良竜也選手
「貯金を切り崩しながら水泳生活という風に切り替えて。このまま金銭面的にも大丈夫かなと思って、五輪選考会がある4月まで持つかなって。そんな時に鳥取県水泳連盟の方に声をかけてもらって支援をしてもらって、すごく助かりました。」

その後選考会で見事代表権を獲得しますが…

東京オリンピック直前に新型コロナに感染し、練習ができなくなる事態も…
そんな数々の苦難を乗り越え、快挙を成し遂げた東京オリンピックの直後、武良選手はすでにパリオリンピックへの意気込みも語っていました。

競泳 武良竜也選手(東京五輪直後)
「自分自身のなかでなにか形に残るものがほしくて、そういうのもあってやっぱりパリでは必ずメダルを獲得したい。金メダルも本当に見えてるところにあるので、そこをめざしてまた頑張っていきたいと思います。」

しかし、肩のけがなどにも悩まされ、2大会連続出場をかけて臨んだ今年3月の選考会では、100メートル・200メートル共に派遣標準記録に届かず、パリの切符を逃していました。

競泳 武良竜也選手
「パリオリンピック出場を決められず悔しい思いはすごくあるが、僕自身納得のいかなかったレースではなかったので、すごくやり切った感じです」

22年の選手生活を、「やり切った」と語る武良選手。
そんな武良選手にとって、「水泳」とは…

競泳 武良竜也選手
「どん底を経験したりだとか、逆にオリンピック決めて最高潮のこともあって、本当に水泳は僕の人生そのものだったなと、今振り返れば思います」

武良選手は今後、鳥取県をはじめ全国で水泳教室を開くなど、引き続き水泳に携わっていきたいということです。

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