古いもの大切にして 創業70年 亡き父の老舗時計店を宝石店に 「流されず楽しく」 オリジナルジュエリーに込めた長女の思い

JR松江駅(島根県松江市)の西側、繁華街の中央通り商店街にあった創業70年の老舗時計店が3月、宝石店に変わりました。
7年前に亡くなった先代の長女が引き継ぐ店には、独自の感性で輝く宝石が並んでいます。

昭和29年、1954年に松江市朝日町に店舗を構え、時計・宝石・眼鏡を扱い
70年の時を刻んできた「イワセ時計店」は、3月、「イワセ宝石店」に名前を変えました。
店を引き継いだのは長女の昭子さん。

イワセ宝石店 天野昭子 さん
「宝石も扱っていたので、漠然と、昔から『継ぐんだろうなぁ』という気持ちがあって」
「私は宝石しかできなくて、じゃあ、宝石でやっていこうかなという決意で」

昭子さんの父・敏さんは、7年前、73歳で他界。
その後、敏さんの妻や他の社員で時計店を続けていましたが、昨年末で閉店。
今年3月、それまで時計店の隣りで「Jewelry IWASE -acco-」という名で宝石の店を開いていた昭子さんが店を引き継ぎました。
そして、店の名前は「イワセ宝石店」としました。

イワセ宝石店
天野昭子 さん
「父が古い物をすごく大切にしていたので、古い物を大切にして」
「流行りに流されず、楽しく、自分のいいと思ったことをやっていきたい」

昭子さんが手がける「イワセ宝石店」は、一般的な宝石店とは異なり、個性的な雰囲気が広がっています。

イワセ宝石店 天野昭子 さん
「私が手で掘って、ちょっといびつな感じというか」
「ちょっと自分で分かる感じの"表情"を付けてみた」

大阪の短大を卒業後、宝石を学び、一流宝石店で働いていた昭子さんは、26歳で松江に戻り、オリジナルのアクセサリー作りをはじめました。
店内に並ぶほとんどのジュエリーは、昭子さんが手をかけたものです。

イワセ宝石店 天野昭子 さん
「長く使えるものというのは、やっぱり、シンプルで飽きの来ないもの」
「だけど、シンプルなだけではつまらない」
「人の手でちょっと細工したいびつさが残るジュエリーとかアクセサリーを作りたい」

宝石は地球の自然の中で出来たもの。
その魅力を、普段から身につけることで感じてほしいと、昭子さんは話します。

イワセ宝石店 天野昭子 さん
「(ダイヤモンドは)無色透明がいいと言われるけど、黄色っぽい、ちょっと色がついているのも普段付けやすくていいなと思って、よく使っている」

昭子さんは、ジュエリーのリフォームも手掛けています。
もともとの真珠のネックレスを分解し他の石や淡水パールなどを組み合わせてデザイン性を高めたり、短くし、数珠に変えることもできます。

イワセ宝石店 天野昭子 さん
「Q.『母や祖母が使っていたのを娘さんに』みたいことも?」
「そういうこともよく承っています」

また、ジュエリーだけでなく、かわいらしいアクセサリーも。
大小のボタンとビーズを組み合わせて作った髪留めも、昭子さんの手作りです。

創業70年の歴史を引き継ぎ、新たなスタートを切った「イワセ宝石店」。
オリジナルのジュエリーを作りながら、リフォームやアクセサリーの修理も手掛ける昭子さんのそばでは、父の代からある大きな振り子時計が時を刻んでいます。

イワセ宝石店 天野昭子 さん
「もうちょっと普段からも身につけて、身につけることで、気持ちが楽しくなったりとか、そういったリフォームとかオリジナルの制作をしたい」

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