考え過ぎてしまう“悩み沼”から抜け出す考え方10 メンタルドクター Sidow先生がアドバイス

悩み事があると、考えないようにすればするほど考えてしまう「悩み沼」。でも、考え方次第で抜け出すことができるんです!悩み沼から抜け出す10の考え方と、5つの行動を、YouTubeで大人気の精神科医Sidow先生にアドバイスいただきます。

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ADVICE
メンタルドクターSidow先生
めんたるどくたー・しどう●精神科専門医。医学博士。筑波大学附属高等学校を経て、東邦大学医学部を卒業後、精神科医を選択する。現在は都内でメンタルクリニックを開院。精神科医として働く中で、世間の精神疾患に対する偏見や誤解の解消、精神科の早期受診の必要性を実感し、SNSで精神科医として情報発信を始める。YouTubeやX(旧Twitter)など自身が運営するSNSの総フォロワーは10万人を超え、さらに人気急上昇中。

「悩み沼」から抜け出す考え方10

①物事を0か100か、黒か白かで判断しない

完璧主義の人はうまくいった部分よりも、うまくいかなかった部分に焦点を当てて後悔してしまいがちです。どんな人にも欠点はあり、どんな素晴らしい意見にも反対意見はあります。

「完璧なものなど存在しない」と認識し、極端に考えるのをやめて、物事にはグラデーションがあるということを認識しましょう。

②失敗したとき、次も同じことが起きてしまうと決めつけない

うまくいかなかったことが一度や二度起きたとき、今後も同じことが当然起きると考えるのはやめましょう。少ない回数で決めつけてしまうと、多くの可能性を狭め、精神的にもマイナスです。

今回は今回のこととして状況ごとに見直し、それがすべてではないと考えて幅広い視点で考えましょう。

③よかった出来事を見えなくする心のフィルターを外す

悩み沼にハマっていると、「自分の人生にはいいことがない」と考えてしまいがち。落ち着いて考えるときっと今までにいいことはあったはずなのに、心にネガティブなフィルターをかけているため、見えなくなっているのです。

悪い部分にばかり目を向けず、よかった出来事も意識しましょう。

④なんでもマイナス思考で考えるのをやめる

疑い深い人や自分に自信がもてない人は、なんでもマイナス思考で考えがちです。例えば誰かにほめられたときに「この人は何かたくらんでいるのかも?」と考えてしまうなどです。

プラスの出来事までマイナスと捉えるのはやめて、素直に喜びましょう。

⑤飛躍して大げさに考えない

特定の出来事を大きく悪い方向に捉えて悩んでしまうことがあります。例えばスマホのLINEで既読スルーをされたとき、「嫌われているに違いない。もう連絡するのはやめよう」と決めつけてしまうなどです。

たった一度の既読スルーで決めつけるのは、飛躍し過ぎです。大げさに考えず、冷静に状況判断しましょう。

⑥自分に厳しくし過ぎず、優しくすることを意識

小さな失敗でも激しく落ち込み、うまくいったときは「たまたまだ」と考えてしまう人がいます。この考え方は他人の成功を大きく見積もり、自分に対しては過小評価になりがち。自分に厳し過ぎるのは問題です。

うまくいったときは自分をほめ、ご褒美をあげるなど、自分に優しくすることを意識しましょう。

⑦今の感情だけで相手を評価しない

誰かに自分の気分を害されるようなことをされたとき、人は誰でも嫌な気持ちになります。瞬間的に「あの人は最低だ」などと思ってしまいがちですが、冷静に考えると一度だけのことでその人の人間性まではわかりません。

そのときの感情だけで相手を評価するのは、間違った認識につながるので注意しましょう。

⑧「~べき」思考をやめて、ほかの価値観も認める

「◯◯するべき」「◯◯しなければならない」という考え方は、「常識的に考えるとこうだ」という固まった自分の価値観が根底にあります。

自分以外の価値観を認めることができないと、他人と衝突するリスクや、時代の変化に対応ができず、自分を追い込む結果になりやすいので柔軟な考え方を心がけましょう。

⑨レッテルを貼らず、視野を広げる

「自分はダメだから」「あの人はそういう人だから」と自分や人のイメージを決めつけて一度レッテルを貼ってしまうと、ほかの可能性に目を向けなくなって、視野が狭くなってしまいます。

安易なレッテルを貼らずに、多様な考え方や見方ができるよう視野を広げましょう。

⑩自分や他の人に責任を特定しない

失敗や過ちの責任を自分、あるいは特定の誰かのせいと考えてしまうことがあります。自分を責め過ぎたり、誰かを心の中で責めたりしがちですが、実際はいろいろな要因が重なって起きたことが多く、誰か1人の責任ということはほぼありません。

「運やタイミングがよくなかった」と考え方を変換しましょう。

「悩み沼」から抜け出す行動5

つい使っている口癖などの行動は気づかないうちに自分や相手を傷つけているかも。意識して行動を見直しましょう。

①よかったことを日記に書き出す

マイナス思考に陥っているときは、悪い出来事ばかりに着目してしまい、よかったことを忘れがちです。

一日にあったよいことを、日記に書き出してみましょう。悪いことばかりが起きているわけではないことが、認識できるはずです。

② 自分をいじめるような言葉遣いをやめる

「どうせ私なんて」「私には無理」などの口癖は、最初からよい結果につながらない、自分にはできないと決めつけている言葉です。

使っているうちに、物事に挑戦することも少なくなって、選択肢を狭めてしまいます。もし使っていたら、意識して使うのをやめましょう。

③「~べき」という口癖に注意する

「◯◯するべき」と考えている人は、会話にもこの言い方をすることが多い傾向にあります。言われた相手は、価値観が押しつけられていると感じることもあります。

そこで関係に摩擦が生まれることもありますので、言い方に気をつけましょう。

④逃げ込める場所や人など頼れる窓口を広げる

仕事一筋で人間関係も仕事関係に偏っている人は、仕事でストレスを抱えたときに逃げ場がなくなってしまいます。

ある程度広く浅く人間関係を保っておけば、何かが起こったときに頼れる窓口がたくさんあるので、1人で考え込むリスクが低くなります。

⑤自分と他人の意見を共存させる

考え方や価値観は人それぞれ違うことはわかっていても、自分の意見の正しさを強調したいとき、自分の価値観を他人に押しつけていることがあります。

押しつけるのではなく、自分と違う意見があっても否定せずに、互いの意見を共存させることが大切です。

次回は、人づきあいの最適手段「傾聴」について、ご紹介します。

※この記事は「健康」2024年春号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。


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