鹿児島県肝付町岸良の船間簡易郵便局がこの春、1年半ぶりに再開した。町内の別の郵便局に勤めていた有志が奮起、船間小学校跡を活用して実現した。住民は「便利になり、新たな交流の場ができた」と喜んでいる。
再開に尽力して新局長になったのは、期間雇用社員などの立場で岸良郵便局に今年2月まで約20年勤務した松元恵美子さん(52)=同町岸良。
自治会に当たる船間振興会によると、船間地区の住民は16世帯約30人で、平均年齢は82歳を超える。商店跡にあった局が前局長の引退で閉鎖された2022年9月以降、住民は車で10分前後かかる岸良局まで行かなければならず、タクシーに頼る高齢者もいた。
松元さんは顔なじみも多い船間地区を応援しようと準備を重ね、日本郵便による面接などの選考をクリアした。また、地元で親しまれてきた船間小跡に着目。1994年3月に閉校し、研修集会施設となった2階建て校舎の一角の使用許可を町から取り付けた。
元職員室に事務室を置き、3月1日から業務を開始。同30日は船間振興会主催の記念式典があり、住民ら約50人が再開を祝った。荒田六三会長(64)は「不便さが解消され、行けば誰かに会える場所ができてありがたい」と歓迎した。
松元さんは「住民に憩いの場と近くに郵便局がある安心感を提供していきたい」と意気込む。