獅子文六ゆかりの宿、宇和島の大畑旅館が閉業 14日に最後の宴会で幕

獅子文六ゆかりの宿として親しまれ、14日で閉業する大畑旅館

 宇和島市津島町岩松地区をモデルにした小説「てんやわんや」で知られる獅子文六(1893~1969年)ゆかりの大畑旅館(同地区)が、14日で閉業する。4代目の大畑勝照さん(76)によると、後継者がいないことと自身の体調面を理由に決断。文六が過ごした部屋を目当てに訪れる文学ファンらに親しまれ、大畑さんは「長い間ご利用いただき、本当にありがとうございました」と感謝している。

 今後の旅館の扱いはまだ定まっていない。14日には、地元関係者らが集まり見学会と宴会を開く予定。大畑さんは大正期からの歴史と自身の半世紀にわたる「朝から夜までの仕事で、必死になってやってきた」思いを胸に「全てが大事なお客さまでした」とほほ笑んだ。

獅子文六直筆の額が飾られた部屋を案内する大畑さん
獅子文六が仮住まいした大畑旅館の一室

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