均衡保った日中関係を 学習院大・江藤教授が講演 しもつけ21フォーラム

しもつけ21フォーラムで講演する江藤氏=11日午後、宇都宮市大通り2丁目

 下野新聞社の会員制組織「しもつけ21フォーラム」の4月例会が11日、宇都宮市内で開かれた。学習院大法学部教授・地経学研究所上席研究員兼中国グループ長の江藤名保子(えとうなおこ)氏が「中国の国内情勢と日中関係」をテーマに、中国経済の課題や日中関係構築のポイントについて講演した。

 江藤氏は、現在の中国は新型コロナウイルス禍の影響で経済の減速が顕著だとした上で、「習近平(しゅうきんぺい)国家主席への不満は表面化しにくいが、経済が潤わず、昨年後半から国内の不信感が高まっている」と説明した。

 中国最大の課題は「国民が貯蓄を考える中で、どのように消費意欲を喚起するか」。共産党中央に権限が集中し有効な経済対策が打てない状況下で、自国経済の良いところを宣伝する「経済光明論」を打ち出す同党の姿勢に疑問を呈した。今年の経済成長率目標を5%とした点には「達成できるかは甚だ怪しい。ただ、何らかの数字を上げるための努力をしてくるだろう」との見方を示した。

 日本は中国の要求をそのまま受け入れるのでなく、うまく折り合いを付けながら「完全に関係が悪化しないバランスを常に保ち続けることが必要」と強調した。

 江藤氏は1976年、本県出身。過去には日本貿易振興機構アジア経済研究所副主任研究員なども務めた。

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