「走る蓄電池」EVバス 十和田観光電鉄が青森県内初導入 12日から運行

EVバスに試乗する関係者。加速は滑らか、振動が少ないのが売りだ=11日午前、三沢駅近くのバスロータリー内

 十和田観光電鉄(佐藤行洋社長)が脱炭素社会の実現に向け、青森県で初めて電気自動車(EV)バスを路線に導入する。地震など災害発生時には電源車としての役割も担う。11日、三沢市の三沢駅近くで車両がお披露目され、関係者が12日からの本格運行に向け安全を祈願した。

 EVバスは全長10.5メートル、幅2.5メートルで、定員は80人。26の座席に携帯電話が充電できるUSBポートが設けられ、さらに100ボルトのコンセントも内蔵されている。一般家庭約20日分の電力を蓄えられるバッテリーも搭載しており、「走る蓄電池」とも呼ばれる。1回の充電で最大240キロの走行が可能という。

 朝は三沢市から十和田市までの通学の足となり、日中は三沢市内を中心に走行する。週末は同市とイオンモール下田(おいらせ町)を往復。車両価格は約4600万円で、同社は導入に伴い国から約2千万円の補助を受けた。

 11日、バスロータリー内で行われた出発セレモニーには佐藤社長や古間木勝弘・三沢市商工会長、駅に近い三沢商業高校の生徒ら約30人が出席。その後一同はEVバスに試乗し、騒音のない静かな車内や、モーターで動く滑らかな加速を楽しんだ。

 同校情報処理科の野崎ひらりさん(3年)は「振動が少ないし音がとっても静か。寝ちゃうくらいリラックスしそう」と感想を語った。

 自動車検査登録情報協会(東京)によると、国内で導入されているEVバスは252台(2023年3月時点)で、全国の大型バスの1%程度。温暖化対策の推進により、今後の普及が期待される。

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