「トイレに間に合わない」ピンチのとき役立つ3つの方法とは?頻尿・尿漏れのお悩みに

「もれそうなのに、近くにトイレが見つからない!」「高速道路のインターまであと少し、なんとかがまんしないと……」本当に困りますよね。切迫した状況で、尿意をおさえる方法を知っていたら、どんなに助かることでしょう。3つのカンタンな方法を、日本泌尿器学会専門医の関口由紀さんに教えてもらいましょう。

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座っていたら、脚を組む

まず、イスに座っているときに、尿意が押し寄せてきてがまんできなくなったら。サッと脚を組みましょう。尿意がすっと引いていくのを実感できるでしょう。周囲の人に悟られない、スマートな方法です。

では、脚を組むとなぜ、トイレに行きたい気持ちが抑えられるのでしょう?

脚を組む姿勢になると、尿道が曲がります。尿道とは、尿をためている膀胱から、尿の出口までを結ぶ、尿の通り道です。尿道が曲がって尿の通り道がふさがり、尿の通過を一時的にストップすることができるのです。

同時に、ちつと肛門をキュッと締めてみてください。尿道をまわりの皮膚でふたをするようなイメージですね。こうすると、より効果的に尿意を抑えることができます。

立っていたら、しゃがむ

立っているときに、トイレに行きたくて仕方なくなったら、迷わずその場でしゃがみましょう。少々唐突かもしれませんが、じつはこれが、一瞬で尿意を止める方法です。

では、しゃがむと、なぜ尿意が抑えられるのでしょう?

それは、脚を組む姿勢と同様に、尿道が曲がるからです。尿の通り道がふさがることで、尿がもれ出すのを一時的にストップさせます。

脚を組むときと同様に、ちつと肛門をキュッと締めてください。尿道を締めることで、尿意を抑えられる時間が長くなりますよ。

余裕がないときの即効ワザ

「余裕がない、もうダメだ、もれそう!」というときの即効テクニックがあります。ズボンやスカートの上から、尿道の出口を押さえるというもの。

尿道のまわりの皮膚や皮下組織を、寄せ集めるようにして押さえてみてください。かなりの確率で尿がもれるのを止めることができます。

ただし、尿道の出口をダイレクトに押さえるというやり方は、人前ではちょっとできないかもしれませんね。家の中でも、「家族に見られるのも、恥ずかしくて無理!」という人もいるでしょう。そういう場合は、上着などを片手で持ち、押さえた手を隠せば目立ちません。

トイレががまんできない人は、おもに「過活動膀胱」が原因といわれています。トイレに行く途中や便座に座る前にもれてしまうことがよくあるタイプです。過活動膀胱の原因はよくわかっていませんが、加齢や骨盤底筋群のゆるみなどが関係していると考えられます。

骨盤底筋群が締まらなくなって尿がもれるので、尿道を押さえて直接せき止めるというわけです。

すぐにトイレに駆け込まないことも大事

尿道の出口を手で押さえて尿意を止めたあとは、すぐにトイレに駆け込まないのが大事です。

ちつと肛門をキュッと締め、上方向にグッと持ち上げるようにしてください。これは、骨盤底筋を鍛えるトレーニングの基本でもあるのですが、骨盤底筋群が収縮して、尿をせき止める働きにつながります。

さらに、ちつと肛門をキュッと締めることで、信号が脊髄に伝わり、「会陰排尿筋抑制反射」という反応が起こります。すると膀胱がリラックスして、尿意がコントロールされます。

こうして、トイレに駆け込みたくなるほどの「最大尿意」が去ってから、しばらくしてからトイレに行きましょう。尿漏れの予防策としても有効です。

※この記事は『「トイレが近い」人のお助けBOOK』関口由紀監修(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。

※2023年1月25日に配信した記事を再編集しています。


監修者
女性医療クリニックLUNAグループ(横浜元町)理事長 関口由紀

横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学講座客員教授
インターネットサイト フェムゾーンラボ社長
日本フェムテック協会代表理事
日本泌尿器科学会認定専門医・指導医
日本東洋医学会認定専門医・指導医
日本性機能学会認定専門医
日本排尿機能学会認定専門医
医学博士
経営学修士(MBA)
日本メンズヘルス医学会テストステロン治療認定医

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