国税庁の統計から「年齢別・平均年収」の実態をチェック
新年度となって、早1週間が経過。とくに、新社会人にとっては濃密な1週間となったのではないでしょうか。
総務省統計局の労働力調査によると、2023年平均の就業者数は6738万人でのうち328万人が転職していたことがわかりました。つまり、4.8%の人が「会社をやめて他社に転職」したことになります。
しかし、転職や退職を決意したタイミングで誰もがスムーズに退職できるわけでは残念ながらありません。なかには、行動に移せず悩んでいる人も少なくないようです。
入社後の研修を踏まえてから配属先を決める企業は一定数存在するでしょう。そんな企業に対して不満や不安を抱く新社会人はどれだけいるのでしょうか。
今回は、新社会人を対象にしたキャリアに関する意識調査の結果を見ていきましょう。記事後半では国税庁「平均年収一覧」を見ながら、会社員が抱える退職願望とジレンマを解き明かしていきます。
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【最新】意識調査からみえる新社会人や会社員の実態
レバレジーズ株式会社が、入社後の配属先に関する調査を実施。
キャリアチケットに登録している2024年卒業予定の大学生131名のキャリアに対する本音が明らかになりました。
調査概要は以下の通りです。
- 調査期間:2024年1月26日(金)~2024年2月16日(金)
- 調査機関:レバレジーズ株式会社キャリアチケット
- 調査対象:「キャリアチケット」に登録している2024年卒業予定の大学生
- 有効回答数:131名
- 調査方法:webアンケート調査
約4人に1人の24卒、配属先が希望と異なれば「早期退職」を検討
入社後の配属先が決まっていない学生に対して「配属先が希望と異なる場合に入社辞退や早期退職を検討するか」を聞いたところ、約4人に1人が「入社辞退・早期退職※を検討する(24.6%)」と回答する結果となりました。
ちなみに早期退職は、入社後半年以内の退職と定義されています。具体的に、どんな希望と異なったら辞退を検討をするかについては「希望の勤務地・エリア」に関する回答が目立ちました。
「家族や友人との会いやすさを重視して住み馴れたエリアから離れたくない」「勤務地が希望と異なるとライフプランを立てづらい」と考える学生が一定数存在するようです。
退職に向けて動けない理由1位は「経済的な不安」
また、別の意識調査では退職を考える人の71.6%は、退職に向けた行動がとれていないことがわかっています。
その理由は「経済的な不安があるから」が最多。退職や転職に対して慎重な姿勢が見受けられます。
「退職したいが経済的に不安……」という会社員のループ。そんな会社員の、現状における平均年収を確認していきましょう。
【一覧表】給与所得者の年齢階層別・平均年収はいくら?
国税庁の「令和4年分 民間給与実態調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の年齢階層別の平均給与は下記のようになりました。
<年齢階層別の平均給与>
- 19歳以下:124万円
- 20歳~24歳:273万円
- 25歳~29歳:389万円
- 30歳~34歳:425万円
- 35歳~39歳:462万円
- 40歳~44歳:491万円
- 45歳~49歳:521万円
- 50歳~54歳:537万円
- 55歳~59歳:546万円(男性平均は702万円で最高平均年収)
- 60歳~64歳:441万円
- 65歳~69歳:342万円
- 70歳以上:298万円
男性の場合は年齢が上がるにつれて平均年収が上昇しており、55〜59歳では平均年収が「702万円」となっています。
一方、女性の場合はどの年代においても平均年収に顕著な差が見られず、ピークは25〜29歳で「349万円」です。
上記の年代別の賃金差から、女性は結婚や出産をするタイミングで家事や子育てといった仕事以外の役割が増えるケースが多く、収入の上昇があまり見られない現状がうかがえます。
ライフスタイルの影響も顕著にあらわれる働き方と年収。男女ともに、過去5年間で平均年収帯の割合に大きな変化はなく、賃金上昇があまりされていない現状がうかがえます。
ループを脱するには、それ相応の覚悟と計画性が求められるといえるでしょう。
「会社員の悲劇的ループ」を抜け出すには
退職への踏み出しを阻む、経済不安を抱える会社員が少なくない現況について確認してきました。
さまざまな価値観の人同士が集まり、ひとつの組織として仕事に取り組む以上、悩みや不満から「退職したい」といった感情がうまれるのはある意味自然なこと。それ自体、決して悪いことではありません。
それでは、このジレンマを解消するにはどうすればよいでしょうか。
まずは、現時点での仕事や貯蓄の状況、そして自分自身にどれだけストレスがかかっているかを洗い出してみましょう。そのうえで不安を解消するために「想定外のことが起こる前提での備え」を心がけるのが重要です。
時間や労力、元本割れなどリスクを理解した上で、副業や資産運用などを検討してみてもよいでしょう。
必要に応じて、相談窓口の利用も候補にいれよう
本業以外で収入をもつハードルは高く、多大な時間がかかる可能性もあります。
しかし、自身の健康や精神状態などにまで支障をきたしている場合には、一時的な収入減や支出を仕方ないものと捉える必要があるでしょう。
職場環境によっては退職の申し出が難しい場合もあるため、必要に応じて退職代行サービスや相談を受け付けている弁護士、行政窓口への相談も検討すべきかもしれません。
「今の自分は何ができるか」を考えて、将来に備えるためのアクションをとることを検討してみてください。
参考資料
- レバレジーズ株式会社:career ticket (キャリアチケット)「2024年卒の入社後の配属先に関する調査」(PRTIMES)
- 株式会社アシロ:ベンナビ労働問題「【2510人の社会人に聞いた!】仕事をやめたいと思ったことはありますか?」
- 国税庁「民間給与実態統計調査(令和4年分)」