【小林和博さん(市川屋/店長)】“「素直・挑戦・感謝」を忘れずに、老舗の味を受け継いでいく”

【プロフィール】
小林 和博(こばやし かずひろ):新潟市出身。15歳から新潟の名店「兄弟寿し」で住み込みで働き、和食業界に長年携わる。ラーメン店ではたらくことをきっかけに、「角中株式会社」に入社する。新潟最古の餅菓子屋『市川屋』の事業継承にあたり、これまでの経験から継承メンバーに抜擢。期待とプレッシャーを感じながら、伝統の味を引き継いでいる。


ガタチラスタッフ:『新潟人196人目は、「市川屋」の店長・小林さんです!2023年2月に、惜しまれつつも“175年の歴史”に幕を閉じた『市川屋』を“角中グループ”が事業を引き継ぎ、4月15日より再営業を開始!オープンを目前に、伝統の味を引き継ぐ想いや餅づくりへのこだわりなど様々なお話をお聞きしました!素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』

176年続いた名店の継承メンバーに

—飲食業で働こうと思ったきっかけは何だったのですか?

小林さん:一番は“寿司が好きだった”という単純な理由です。21年程寿司屋で働いた後に、ラーメン店をきっかけに角中に入社しました。現在は「ビーフ角田」と「市川屋」を管轄しています。

—「市川屋」を引き継ぐことになった経緯を教えてください!

小林さん:社長が「176年続いた市川屋が閉店する」という情報を聞きつけたことがきっかけです。“歴史あるお店を絶やさせてはいけない”という想いから、継承についてお話をさせていただきました。

—「市川屋」の反応はいかがでしたか?

小林さん:弊社の社長が「しっかりと忠実に市川屋を受け継いでいきたい」と言ったことに、市川屋を託すことを決断したと仰っていました。社長の熱意が伝わったんだと思います。

—継承メンバーに選ばれたきっかけは何だったのでしょうか?

小林さん:江戸時代から176年続く市川屋はガチガチな職人の世界ですよね。同じ様に職人の世界で修行してきた私の経歴を社長は知っていたので、継承メンバーに選ばれました。

—長年飲食業に携わってきた小林さんだからこそですね!

小林さん:とはいえ、餅づくりは未経験だったので、全くの別世界でしたね。私も餅が好きで色々と食べてきましたが、市川屋の餅を食べた時にその美味しさに感動しました。今まで食べていた餅は何だったんだろうと思いました(笑)。

伝統のやり方を忠実に守る

—実際に7代目店主より修業を受けられたのですよね!

小林さん:食材や製造に対しての厳しいこだわりには、衝撃を受けましたね。“作業の手順や分量の割合”などは昔から変わりません。素人だからこそ「こうすればもっと効率が良いのに」と思うこともありますが、親方から作業一つひとつに意味があることを学びました。

—餅づくりのこだわりを教えてください!

小林さん:機械が餅をつきますが、手を入れて返さないとムラができたり、弾力がでなかったりします。一つひとつの作業に手を抜かず、“伝統のやり方を忠実に守る”ことが大事ですね。

—食材へのこだわりはどういったところですか?

小林さん:市川屋では、厳選した素材を使用しています。当然原価は上がりますが、それでも全国のお客様からリピートされますし、それが“176年続いてきた証”でもあると思いますね。

—例えば、どんな食材を使用しているのですか?

小林さん:餅米であれば、新潟で太陽と塩分(ミネラル)を浴びた山北産しか使わなかったり、笹も自然豊かな山北で育った笹を使用しています。

—食材一つとっても手を抜かないということですね!

小林さん:餅はもちろん、笹団子のあんこにもこだわっています。

笹も山北産の生笹をつかっているので、蒸かすと香りが全然違います。しばる紐には畳のい草を使用していますが、三重県から取り寄せています。

—名店を受け継ぐプレッシャーもありますよね…。

小林さん:176年続いたお店ですからね…もちろんあります。しかし、今は“プッシャーよりも楽しさ”が勝っていますね。親方が「良いね」と言って下さった時は、本当に嬉しかったです。

お客様からの期待に応えるために

—再始動にあたって、どんな反応がありましたか?

小林さん:リピーターのお客様へ、再開する旨をDMでお送りしたんです。数日後、手書きの御返事をたくさんいただきました。「再開を心待ちにしています」などのありがたいお言葉をいただき、大変嬉しかったですね。

—お客様からの期待の声は嬉しいですね!

小林さん:県外の企業様からも電話をいただいたりしました。プレッシャーでもありますが、それでだけ楽しみにしてくださっている方も多いので、ご期待に添えられるようにしっかりと準備をしていきます。

—おすすめの商品を教えてください!

小林さん:自分たちも納得したものを作っているので、どれを食べても美味しいと思います!4~5月は笹団子、お正月は白い餅など、シーンに合わせてご利用いただきたいと思います。

“基本に忠実に”、歴史を繋いでいく

—親方との印象に残るエピソードを教えてください!

小林さん:弟子として認めてくださったことが唯一の財産だと思います。48歳になって、厳しく指導される機会はなかなかないですよね。厳しい指導も商品へのこだわりや信念があるからこそだと思うので、その想いをしっかりと引き継ぎたいです。

—小林さんのこれまでの経験も生かされていますね!

小林さん:年齢を重ねると頭が固くなってしまいます。それによって素直になれなくなってしまうので、常に「素直・挑戦・感謝」を念頭に置き、取り組んでいきたいです。

—最後に、今後の目標を教えてください!

小林さん:まずは、「親方が手放しで安心できる商品」を作りたいです。親方が認めてくれれば、お客様も認めてくださると思います。まずは“基本に忠実に”、お客様からの信頼を重ねていきたいです。

—4月15日(月)にいよいよオープンですね!

小林さん:店舗は平日10時~14時まで営業しています。お近くにお越しの際は、お立ち寄りいただけたらと思います!オンラインショップも15日から注文できるので、遠方の方もぜひご利用ください!

>>>オンラインショップはこちら

【市川屋】
住所:新潟市中央区鐙1-5-15
営業時間:平日10:00~14:00
定休日:土曜・日曜・祝日
駐車場:有
公式ホームページ:https://sasadango.com/ 
公式Instagram:https://www.instagram.com/ichikawaya_official/

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