認定看護師、青森県内で養成へ 八戸市民病院、保健大と連携 教育課程開講目指す

協定締結後、記念写真に納まる(左から)角濱副理事長、今事業管理者、柾谷会長

 八戸市立市民病院(水野豊院長)は「認定看護師」を養成する教育課程の開講を視野に12日、青森県立保健大学(吉池信男学長)と包括的な連携協定を締結した。認定看護師の養成機関として実績を持つ保健大から、教育ノウハウ提供や指導経験を持つ教員の派遣、大学施設利用などについて支援・協力を受ける。現在は県内に養成機関がないが今後、日本看護協会(日看協)から認定看護師の教育機関として認定を受けられれば2025年度内の開講を目指す。

 市民病院が養成機関の認定を目指すのは、クリティカルケア(疾病や外傷などで生命の危機的状態にある重症患者へのケア)分野で、定員10人程度。看護師のキャリア形成支援を強化することで、県外流出が深刻化している看護師の県内定着にもつなげる。

 保健大は05~16年度に認定看護師(救急看護、がん化学療法)分野の養成機関だった。だが、高度医療技術を身に付ける環境整備の難しさや、大学院での専門看護師の養成に注力するため、17年度以降は認定看護師を養成していない。

 12日は市民病院で協定締結式が行われ、同病院の今明秀事業管理者と県立保健大の角濱春美副理事長が協定書に署名。今事業管理者は「日看協に相談したところ、(全国の)市民病院でやっているところはないが不可能でもないと言われた。どんな苦労が待ち受けているか分からないが成功させたい」と説明。角濱副理事長は「認定看護師の養成は県民の命を守ることに直結する。自分たちだけでは難しかった中、市民病院が決断したことに感謝する」と述べた。

 締結式に出席した県看護協会の柾谷京子会長は「保健大の教育資源と市民病院の高度医療の現場力の結集は大きな意味を持つ。認定看護師を領域・圏域を超えて配置すれば看護の質を向上できる」と期待を込めた。市民病院の呑香(どんこう)美佳子看護局長は「例えばクリティカルケア分野の認定看護師になる場合、今は東京の養成機関に行く必要がある。今後、県内で学ぶことができるようになれば、子育て中の看護師が目指しやすくなる」と語った。

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認定看護師 特定分野の熟練した看護技術・知識を使い、高水準の看護実践ができると認定する制度で、1997年に認定審査が始まった。5年以上の実務経験があり、認定看護師教育課程を修了する必要がある。県は3月策定の第8次保健医療計画(2024~29年度)で、認定看護師を22年度の211人から29年度は267人に増やす目標を掲げた。日本看護協会の資料によると、23年12月時点の青森県登録者数は、医師の判断を待たず看護師自らの判断で手順書に従って診療を補助する「特定行為」の研修を組み込んでいない「A課程」が193人、組み込んでいる「B課程」が25人。都道府県別ではそれぞれ全国で12番目、5番目に少ない。

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