会津のキタホウネンエビは山形生息の一種 福島県猪苗代町のカワセミ水族館副館長ら研究 鳥類の卵分散で分布拡大?

展示しているチョウカイキタホウネンエビ

 福島県猪苗代町のアクアマリンいなわしろカワセミ水族館の平沢桂副館長(47)らの研究グループは、会津地方で発見した淡水の甲殻類「キタホウネンエビ」が山形県で生息するキタホウネンエビの一種「チョウカイキタホウネンエビ」と突き止めた。キタホウネンエビは自力で分布を広げることができないため、鳥類が卵を分散させ、生息地が広がったと考えられる。

 研究グループは茨城大、山形大などの研究者でつくり、核遺伝子やミトコンドリア遺伝子を解析した。進化などに関する論文が米国科学雑誌「Molecular Phylogenetics and Evolution」に掲載された。

 キタホウネンエビは大きさが16~18ミリ。雪解けでできる一時的な水たまりに繁殖する。4月ごろにふ化し、1カ月程度で死んでしまうが、卵は乾燥状態のまま休眠し、翌春にふ化する。県内の生息地は2015(平成27)年に確認された会津地方の一カ所のみ。山形県と会津地方のどちらで最初に繁殖したかは不明だが、鳥が何らかの形で卵を運んだとみられるという。

 論文発表に合わせ、カワセミ水族館でチョウカイキタホウネンエビを展示している。寿命が短いため、早めの来館を呼びかけている。

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