【両国】すみだ北斎美術館 企画展「歌舞音曲鑑 北斎と楽しむ江戸の芸能」

江戸の芸能、歌舞音曲の世界を北斎と門人が描く!

すみだ北斎美術館で開催中の企画展「歌舞音曲鑑 北斎と楽しむ江戸の芸能」[2024年3月19日(火)~5月26日(日)]を見て来ました。

葛飾北斎(かつしかほくさい)と北斎門人が描いた江戸の芸能に関する作品が前期、後期あわせて125点展示されます。

春朗期北斎が駆け出しの頃の作品もお目見え。江戸の人々が楽しんだ歌舞音曲の世界が見えて来る展覧会です。

※同展の内覧会にて許可を得て撮影しています。3階企画展示室内は撮影禁止です。

出典:リビング東京Web

一幕目 春朗(しゅんろう)期、役者絵でデビューした北斎

19歳浮世絵師・勝川春章(かつかわしゅんしょう)に入門した北斎。翌年には勝川春朗(かつかわしゅんろう)の名で、歌舞伎役者の錦絵を発表絵師としてデビューします。

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《浮絵元祖東都歌舞岐大芝居之図(うきえがんそえどかぶきおおしばいのず)》の「浮絵(うきえ)」とは

「浮絵(うきえ)」と呼ばれる遠近法の一種を用いて描かれた大判錦絵《浮絵元祖東都歌舞岐大芝居之図》

葺屋町にあった市村座の内部を描いたもの。2階は桟敷席でしょうか、左右の客席からの直線が、中央の役者がいる舞台に向かって伸びています。破風(はふ)の付いた屋根のある舞台の上部には役者の紋が入った提灯が。

よく見ると左下隅に、片膝をついて花道に上がり込んでいる人物が。右側、客席に渡した細い板の上には仕出しのお重でしょうか。風呂敷包みを配る人物も。

出典:リビング東京Web

舞台も裏から見ると面白い《『東都勝景一覧』下 境町》

役者が皆後ろ姿で描かれています。その向こう側は満員大入の客席舞台の背後から客席側を描いた珍しい構図です。

登場人物の後ろから見た視点その先の風景まで描く構図は、『冨嶽三十六景』《五百らかん寺さヾえどう》にもあります。

春朗期から”北斎の目”を既に持っていた⁈

出典:リビング東京Web

デビュー作のひとつ、役者絵《四代目岩井半四郎 かしく(よだいめいわいはんしろう かしく)》

春朗期の役者絵前期9点、後期9点の合計18点が展示されるそうです。このうち前期9点を観覧することが出来ました。

後に北斎が描く縮れたような着物の線はまだ見えません。役者の立ち姿もやや硬い感じもありますが、直線的な着物の線には迷いがなく、背景も含めて丁寧な描線です。

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二幕目 北斎が描いたお披露目会プログラムの摺物(すりもの)

寛政10年(1798)35歳頃勝川派を離れた北斎は、以降役者絵を描いていないと言われています。この頃「俵屋宗理(たわらやそうり)」を名乗りますが、3年後には門人に宗理の名を譲り、「北斎辰政(ほくさいたつまさ)」と号するようになります。

寛政期(1789-1801)から文化期(1804-18)の北斎は、摺物(すりもの)と呼ばれる私的な非売品の印刷物を多く手がけています。

同展では、音曲のおさらい会や襲名披露会などの案内状が展示されています。

二つ折りにした大奉書全紙判片側には絵を、もう片側に文字情報を摺ったもので、三つ折りにして配られたそうです。

出典:リビング東京Web

《行楽図(こうらくず)》

田園風景が広がる中を行楽に訪れた男女。落ち着いた着物の年増の女性や、だらりの帯の若い女性、子供をおんぶした女性もいます。左手には田植えをしている農民の姿も見えるのどかな農村の風景。後の風景画ジャンル確立を予感させるものがあります。

文字部分の番組には「雛靏三番叟」の演目が見えます。絵だけが残っているものもあり、絵と文字が揃っているものは貴重なものだそうです。

出典:リビング東京Web

三幕目 踊り踊るなら「雀踊り」

北斎が残した様々な踊りの絵は、のびのびと手足を動かして楽しそう。連続して描かれた振付は、アニメーションのコマ送りのような滑らかさがあります。『踊独稽古』のような踊りの教則本も遺しています。

出典:リビング東京Web

江戸時代の「Choo Choo TRAIN(チューチュートレイン)」⁈《すずめ踊り》

袖を羽のように振りながら一列になって踊る《すずめ踊り》の行列を描いた一幅。1人の人が踊る姿を連続して描いたような画面は、まるでコマ送りのアニメを見ているよう。

江戸時代の「Choo Choo TRAIN」⁈とイメージしてしまいました。

出典:リビング東京Web

江戸で人気の「雀踊り」が《北斎風雀踊り猪口》に

北斎風「雀踊り」をモチーフにした《北斎風雀踊り猪口》です。

江戸時代、北斎の「雀踊り」は人気があったようで、お皿やお椀、簪(かんざし)など日用品に取り入れられたそうです。

出典:リビング東京Web

大切(おおぎり) 北斎も芝居を楽しんだ

『歌舞伎年代記』続編(石塚豊介子(いしづかほうかいし))には嘉永元年(1848)河原崎座の顔見世「東都内裡花能門(あずまだいりはなもよしかど)」北斎が観劇した感想が記録されているそうです。

北斎は38年前の文化8年(1811)同じ芝居を観ていたそうで、今回は「たての間も長く大に出来よかりし」(立ち回りの場面もしくはタイミングがたっぷりとしていて、とても良かった)とのこと。

北斎も江戸の街で芝居を楽しんでいた様子が伝わって来てほのぼのします。すみだ北斎美術館、企画展「歌舞音曲鑑 北斎と楽しむ江戸の芸能」は、5月26日(日)まで。

北斎と門人たちが描く江戸の歌舞音曲の世界。是非お出かけください。

出典:リビング東京Web

ミュージアムグッズ

ミュージアムグッズは、歌舞伎座レトログッズ ノート 狂言(660円)、すみだ北斎美術館オリジナル手ぬぐい 『北斎漫画』三編より「雀踊り」葛飾北斎画写(1‚342円)を購入。

歌舞伎座レトログッズのコーナーは、お芝居を観劇した後、お土産を選ぶような楽しさがありました。

出典:リビング東京Web
出典:リビング東京Web

〇すみだ北斎美術館

URL:https://hokusai-museum.jp/

住所:〒130-0014 東京都墨田区亀沢2丁目7番2号

TEL:03-6658-8936(9:30-17:30 休館日除く)

交通:都営地下鉄大江戸線「両国駅」A3出口より徒歩5分、JR総武線「両国駅」東口より徒歩9分、都営バス「都営両国駅前」より徒歩5分、墨田区内循環バス「すみだ北斎美術館前(津軽家上屋敷跡)停留所」からすぐ

〇企画展「歌舞音曲鑑 北斎と楽しむ江戸の芸能」

会 期:2024年3月19日(火)~5月26日(日)

※会期中、一部展示替えを行います。

前期:3月19日(火)~4月21日(日)

後期:4月23日(火)~5月26日(日)

開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)

休館日:毎週月曜日※開館:4月29日(月・祝)、5月6日(月・振休)、休館:4月30日(火)、5月7日(火)

会場:すみだ北斎美術館 3階企画展示室

観覧料:一般 1,000円、高校生・大学生 700円、65歳以上 700円、中学生 300円、障がい者 300円、小学生以下 無料

*団体でのご来館は、当面の間、受付を行いません。

・中学生、高校生、大学生(高専、専門学校、専修学校生含む)は生徒手帳または学生証をご提示ください。

・65歳以上の方は年齢を証明できるものをご提示ください。

・身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳などをお持ちの方及びその付添の方1名まで、障がい者料金でご覧いただけます。入館の際は、身体障害者手帳などの提示をお願いします。

・観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)、常設展プラスも観覧可。

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