復興と平穏願い一服 高岡茶会、勝興寺で開幕

古儀茶道藪内流竹風会高岡支部が震災復興の願いを込めたしつらえで、心静かに一服を堪能する来場者=高岡市伏木古国府の国宝勝興寺

  ●伏木の菓子、輪島塗堪能

 第31回高岡茶会(富山新聞社、北國新聞社主催)は13日、高岡市伏木古国府の国宝勝興寺で始まった。加賀藩ゆかりの古刹(こさつ)を舞台に、古儀茶道藪内流竹風会(やぶのうちりゅうちくふうかい)高岡支部が本席、表千家同門会富山県支部が立礼(りゅうれい)席をととのえた。来場者は能登半島地震の復興と、平穏無事な日常の訪れを願い、心静かに一服を味わった。

 浄土真宗の公式な接客の場である大広間で席を設けた古儀茶道藪内流竹風会高岡支部は、床に11代透月斎がしたためた軸「香嚴撃竹悟道(きょうげんげきちくごどう)」を掛けた。

 瀬賀智香枝席主が唐の僧が悟りを開いた逸話を紹介し「地震を経験し、普段の日常は当たり前のことではないと分かった」と思いを語った。

 伏木中央町で被災しながら営業を続ける和菓子店「こし村百味堂」の菓子や輪島塗の香合も並んだ。

 高岡市の河村幹治副市長は、3人の子どもが手を繋いだ形の蓋置きを眺め、「手を取り力を合わせるようで心が和んだ。あらためて復旧への思いを新たにした」と語った。

 砺波喜子さん(36)=高岡市=は輪島塗の香合に注目し、「元通り以上に復興するために、私たち皆で支えていきたい」と話した。松浦修さん(80)=同市=は「茶会を通して、伏木のまちが前を向くような一助になればいい」と願った。

 加賀藩前田家11代前田治脩(はるなが)らの支援で再建された本堂で席をしつらえた表千家同門会県支部は、臨済宗国泰寺(高岡市太田)の稲葉心田前管長と、交流が深い表千家13代即中斎合作の軸でもてなした。鴨島喜久子席主は「平和を願い、日々穏やかに過ごせるように、身分を気にせず茶を味わいたい」と述べた。

 川合光行さん(62)=氷見市=は、「震災から3カ月あまりが過ぎたことを実感した。心の復興も意識していきたい」と話した。

 最終日の14日は大広間で遠州流平木白蓮庵(びゃくれんあん)が本席、本堂で茶道裏千家淡交会高岡支部が立礼席を担う。午前9時~午後2時で、当日券の販売もある。

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