全障スポ選手がコーチに挑戦 知的ソフトボール・宮本麗さん

性別や障害の有無を問わないソフトボール教室で指導者を務める宮本麗さん(右)。全障スポ大会では佐賀県知的障害ソフトボールチームの主力として活躍に期待がかかる=3月、藤津郡太良町のB&G海洋センター運動広場

 佐賀県で10月に開く全国障害者スポーツ大会(全障スポ)で、知的障害者のソフトボール競技に出場する宮本麗(うらら)さん(23)=藤津郡太良町=が、21日から県民を対象としたソフトボールの教室を開き、コーチに挑戦する。知的障害者が指導者として開くパラスポーツの教室は県内で初めて。宮本さんは「教えるアイデアは次々と浮かぶ。自分がコーチをすることでソフトボールをする仲間を増やしたい」と目を輝かせている。

 宮本さんは男女混成の全障スポ知的障害ソフトボールのチームで、投手や内野手など主力として活躍。小学3年から中学まで地元太良で野球の経験があり、チームでも初心者の選手に自分から積極的に声をかけて練習をサポートしている。日頃の練習や試合でも、「どんまい。大丈夫」と誰よりも声をかける姿があり、他の選手からの信頼も厚い。

 佐賀県の知的障害者のソフトボールチームは、全障スポ佐賀大会に向けて2019年に発足した。最初は初心者も多く、守備の連係もままならなかったが、繰り返し練習してチーム力を強化。少しずつメンバーを増やしながら、昨年の鹿児島大会では準優勝を果たした。

 宮本さんが指導者に興味を持ったきっかけは、チーム内に女性が自分だけの時に「男性コーチに相談しにくいこともあったから」。自分がコーチになれば、女性も競技を始めやすくなり、仲間が増えるのではと考えて、県の担当者に「ソフトボール教室をやってみたい」と相談し、今回の開催に至った。

 教室は県が主催するパラスポーツ教室の一環として開催する。対象は小学4年生から30代までで性別や障害の有無を問わず、誰でも参加できる。4月21日から11月17日までの全10回。第1回を佐賀市の県立ろう学校グラウンドで午後1時半から開く。

 練習メニューは、佐賀県パラスポーツ協会の指導員・岩㟢駿さんのアドバイスを受けながら、宮本さんが考案した。初心者や障害がある人でも取り組みやすい内容になっている。最後は全障スポの佐賀県代表チームと試合することを目標にしている。宮本さんは「ソフトボールの楽しさをいろんな人に知ってほしい」と参加を呼びかける。障害者の可能性を広げる指導者への挑戦に、岩㟢さんは「自発的な、とてもいい取り組み。やりたいことが形にできるようしっかりサポートしたい」とエールを送る。(蒲原隆寛)

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