美しいススキ草原を再び 上山高原恒例山焼き

山焼きによって炎と煙に包まれる高原=13日、新温泉町の上山高原

 新温泉町の上山高原で13日、ススキ草原の再生促進を目的とした春恒例の山焼きが行われた。地元住民や一般参加者ら約90人が協力し合い、美しいススキ草原の復活を願いながら、広大な山肌を焦がした。

 山焼きは、同高原で自然保護活動を行うNPO法人「上山高原エコミュージアム」(馬場正男代表理事)が主催。開会式と山開き宣言の後、枯れたススキに点火すると、一帯はパチパチと音を立てて勢いよく燃え広がり、参加者からは「すごい」と歓声が上がった。

 現場では、同法人が事前に草を刈って防火帯を設けたほか、参加者らも水を噴射する消火機材やスギの葉を持って延焼しないよう注視。約3時間をかけて約5ヘクタールを焼き上げた。

 家族3人で参加した丹波市の中辻一歩さん(43)は「火が近くまで来て熱気を間近に感じた。煙もすごかったが楽しかった」と笑顔で話した。

 同高原のススキ草原は、牛の餌などに利用されることで守られてきたが、時代の変化とともに縮小。同法人が2003年から山焼きなどの環境整備を行い、近年はシカの食害に悩まされながらも、再生を目指している。

 馬場代表理事は「今年は天候に恵まれ、全面がきれいに焼けた。新たな芽吹きを促し、ススキ草原の再生や、イヌワシなどの動植物が育つ環境が整ったと思う」と期待していた。

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